一般的に40代は、仕事の昇進で給料が増えたり奨学金の返済が終わったりと、以前よりもお金に余裕が生まれる時期です。一方で子どもが小学校や中学校に入学し、教育費が心配になる頃でもあります。また退職まで残り20年程度になり、本格的に必要な老後資金について考え始める方もいるでしょう。
そこでこの記事では、40代男性のお金の悩みや相談事例について紹介します。具体的な悩みを知り、計画的にお金を準備しましょう。
40代男性のお金事情!貯金額やライフイベント
男性は40代になると、結婚や育児の経験、仕事での収入増加により、生活が大きく変化するのが一般的です。具体的には以下のようなライフイベントを経験します。
- 子どもが小学生・中学生になる
- 会社を退職し独立する
- マイホームを購入する
教育費の負担が大きくなるとご自身の老後資金を準備できるか心配になったり、親が病気になり介護はどうすべきか考えたりする方もいるでしょう。また近年の晩婚化により40代で結婚するのも珍しくありません。
40代男性(単身世帯)のお金事情をみていくと、プラスの財産もマイナスの財産も多くなることがわかりました。具体的には、預貯金や生命保険、株式、投資信託といった金融資産残高が「864万6,000円」と、30代男性(441万5,000円)の約2倍になります。年間収入は「491万7,000円」と全世代のなかで一番多い状況です。
一方で住宅・教育・マイカーローンなどの金融負債残高は「426万7,000円」と、すべての世代で一番多くなります。
40代男性・単身世帯の場合 | 金額 |
金融資産残高 | 864万6,000円 |
年間収入 | 491万7,000円 |
金融負債残高 | 426万7,000円 |
金融資産残高と金融負債残高の差は「437万9,000円」です。30代以前よりも貯金しやすくなるのが40代男性の特徴といえるでしょう。
(出典:総務省統計局「2019年全国家計構造調査 所得に関する結果及び家計資産・負債に関する結果 結果の概要」)
40代男性が抱えるお金の悩み
仕事・プライベートともに多様な経験をするなかで、さまざまなお金の悩みが生まれます。人によって経験してきたことは異なりますが、40代男性はおおよそ以下のような悩みを抱えるでしょう。
- 老後資金は足りるか
- 投資をしたほうがいいか
- 住宅ローンを支払っていけるか
- 独立したい
40代男性ならではの悩みを知ることで、ご自身に起こりうるリスクを整理できます。
老後資金は足りるか
金融資産残高が多くなる40代男性であっても、老後資金が足りるか心配な方もいます。2022年の調査では、40代男性が預貯金をする理由として「老後の生活費のため」が最も多いことがわかりました。
40歳男性の平均余命(2022年)は42.40歳です。何歳まで生きれるかは人それぞれですが、医療の発達などにより、老後の生活費が何歳まで必要か不安になるといえます。
また子どもがいれば教育費を貯めている時期でもあるため、老後資金と教育資金を貯める割合に悩むこともあるでしょう。
(出典:SMBCコンシューマーファイナンス株式会社「30代・40代の金銭感覚についての意識調査 2022」)
投資をしたほうがいいか
貯金額が増えるにつれて、投資でより多く資産を増やそうと考える方もいます。2022年の調査では、投資の経験者は年代が上がるごとに増え、40代では41.7%が投資の経験者であることがわかりました。
投資をする理由として「老後の生活資金を確保するため」が最も多く、預貯金だけではほとんど増えない状況を解決する方法として投資を選択しているといえるでしょう。
また国がiDecoやNISAをすすめているのも、要因のひとつと推測できます。
(出典:一般社団法人 投資信託協会「投資に関する 1 万人アンケート調査(1) 」)
住宅ローンを支払っていけるか
マイホームを購入し、住宅ローンの契約者になる男性は多くいます。実際に世帯主が40歳前後で新築住宅や分譲マンション・中古戸建住宅などを購入するのが一般的です。住宅ローンの返済期間は30年前後となるため、退職してからも支払っていけるか不安になると推測できます。
また子どもが大学に進学する場合、入学金や授業料、一人暮らしの生活費など負担が重くなるのも大きな悩みです。
独立したい
役職についたり部下を率いたりと責任感のある仕事を任されるようになると、やりがいを感じると同時に「本当にやりたいこと」をやってみたいという気持ちが出てくる方もいます。とくに独身の方や夫婦2人で生活していると、金銭的に余裕が生まれやすくなるため、より強く思うでしょう。
独立に関心がある40代男性は28.5%と、30代男性の28.6%と大差はありません。身に付けたスキルを活かして、心機一転したいことが伺えます。
(出典:株式会社Dai「【男女年代別・独立意識調査】2022年最新の独立開業に関する意識を調査」)
40代男性のお金の悩み!相談事例4つ
ここで40代男性が抱えるお金の悩みの相談事例を紹介します。FPの回答と合わせて参考にしてみてください。
相談事例1・老後資金をいくら貯めればいいか知りたい
40歳の男性から老後資金に関するご相談です。
相談者の情報や相談内容
年齢 | 40歳 |
性別 | 男性 |
職業 | 営業職 |
家族構成 | 妻38歳・長女12歳 |
年収 | 480万円 |
毎月の収支 | 収入40万・支出35万円 |
相談内容 | 老後資金をいくら貯めればいいか分からない。今の会社に65歳まで働き続け、厚生年金もある程度の金額をもらえて、退職金も出る。 |
FPの回答
老後資金については、ご家族の収入の見通しやお子さまの進学状況、ローンの返済額などを整理しないと算出できません。そのためご家族で今後のライフプランについて一度話し合うことをおすすめします。必要な老後資金についてはキャッシュフロー表で作成します。
アドバイスとしては、厚生年金だけで生活していくのは厳しいでしょう。退職金が出るとのことですが、自宅の改修・自動車の買い替え費用が発生することも考えられるため、すべてを退職金に頼るのは控えましょう。
相談事例2・iDecoやNISAを考えているがどちらがいいか
投資に関心がある45歳男性からのご相談です。
相談者の情報や相談内容
年齢 | 45歳 |
性別 | 男性 |
職業 | 飲食店経営 |
家族構成 | 妻42歳 |
年収 | 600万円 |
毎月の収支 | 収入50万・支出35万円 |
相談内容 | 今まで投資をしたことがなかったが、周りでもiDecoやNISAを始めた人がいて、気になっている。 老後資金のためと考えているが、どちらにすべきか知りたい。 |
FPの回答
iDecoは公的年金を補うためのもので、原則として60歳まで引き出せません。ただし貯金するのが苦手であれば、あえて引き出せないiDecoを選択するのも適切といえます。
一方でNISAは途中で引き出せるもので、老後資金のみならず教育資金や住宅資金向けでもあります。
投資に対する考えは人それぞれですので、奥さまと話し合って、拠出額などを決めましょう。
相談事例3・マイホームを購入したいが住宅ローンの返済が心配
小学1年生の子どもがいる42歳男性から、マイホームについてのご相談です。
相談者の情報や相談内容
年齢 | 42歳 |
性別 | 男性 |
職業 | 事務員 |
家族構成 | 妻43歳・長男7歳 |
年収 | 420万円 |
毎月の収支 | 収入35万・支出28万円 |
相談内容 | 35歳で転職し今の仕事に安定してきた。妻もパートで働き、新築のマイホームを検討している。 ただし住宅ローンの返済期間が平均30年と聞き、70歳を過ぎても負担があると思うと怖い。 |
FPの回答
退職金をもらえるのであれば繰り上げ返済が効果的です。会社の担当者に退職金について聞いて見ることをおすすめします。
退職金が出ない場合には、住宅購入額を減らすことや、育児に手がかからなくなったらパートの時間を増やすことなどを検討してみてください。
相談事例4・独立したいが家族を養っていけるか
エンジニアとして働く40歳男性から、会社を退職し独立したいとのご相談です。
相談者の情報や相談内容
年齢 | 40歳 |
性別 | 男性 |
職業 | エンジニア |
家族構成 | 妻35歳・長男8歳・長女3歳 |
年収 | 540万円 |
毎月の収支 | 収入45万円・支出38万円 |
相談内容 | 長年エンジニアとして会社に勤めている。家族との時間を大切にしたいため、独立したいと思っている。妻は応援してくれているが、生活が苦しくならないか心配だ。 |
FPの回答
独立する場合、収入や生命保険の保障額、公的年金の金額など、変わることが多くあります。お子さまの教育費もこれから本格的にかかってくると思いますので、独立前に一度ご家族でライフプランを話し合い、キャッシュフロー表を作成してみることをおすすめします。
お子さまが2人いるため、「公立か私立か」「大学に進学させたいか」など、今のうちから話し合っておきましょう。
40代男性のリスクを整理してお金の悩みを解消しよう
一般的に40代になると、金融資産残高や収入が増えてきます。一方でライフイベントの変化とともに、老後資金や投資、住宅ローン、独立など、お金の悩みが増えるのも40代男性の特徴です。
40代男性に起こりうるリスクをまとめておくことで、問題が発生したときに冷静に対応できるでしょう。
お金の悩みを第三者に分析してもらいたいときには、信頼できるFPに相談するのもひとつの方法です。