「老後も安心できる場所で生活したい」と持ち家に住み続ける人もいれば、移動のしやすさから都会の賃貸住宅に住み替える人もいます。老後は家で過ごす時間が長くなるため、住まいによって生活の快適さが変わるかもしれません。
老後の住まいを選択するときには、持ち家か賃貸住宅かだけでなく、住む場所や資金なども踏まえて検討することが重要です。また、老後といっても、「元気なケース」と「介護が必要なケース」では住まいの選択肢が異なります。
この記事では、老後の住まいの選び方や高齢者向けの住まいについてお伝えします。理想の老後生活を送るために、老後の住まいについて自分に合った選択をしましょう。
老後の住まいを選ぶときの3つのポイント
住まいの選択肢はたくさんありますが、老後の資金や自分の理想の生活スタイルなどによって選択肢は異なります。ここでは、老後の住まいを選ぶときの3つのポイントについてお伝えします。
持ち家か賃貸住宅か
老後の住まいを選ぶ上で考えるべきことは、持ち家か賃貸住宅かを選択することです。持ち家と賃貸のメリット・デメリットについて確認しておきましょう。
持ち家のメリット・デメリット |
賃貸住宅のメリット・デメリット |
家賃が不要 |
住み替えしやすい |
持ち家のメリットは、住宅ローンを完済していれば住居費の負担が抑えられることです。また、介護が必要になったときも、間取り変更などができるという利点もあります。
しかし、持ち家に住み続ける場合、建物は経年劣化するため、修繕費が高くなってしまうかもしれません。
一方で、賃貸住宅では住居の修繕費を所有者が負担します。災害などで被害を受けたときに住み替えしやすい点もメリットです。
賃貸住宅のデメリットは、家賃の支払いが続くことです。年金生活で収入が減少し、支払いが困難になる場合があるため、慎重に検討しましょう。また、高齢になり安定収入がなくなると、入居審査に通らない可能性があります。
都市部か郊外か
老後生活の利便性を考えるなら、住まいの場所も重要です。都市部と郊外のメリット・デメリットについてまとめました。
都市部のメリット・デメリット |
郊外のメリット・デメリット |
公共交通機関が発達している |
静かに暮らせる |
都市部に住むメリットは、マイカーがなくても電車やバスで移動できることです。体を動かしにくくなったとしても、近くに病院やスーパーなどがあれば安心です。
一方で、郊外は電車などの騒音を気にせず静かに暮らしやすいといえます。ただし、交通の便が悪く、マイカーが必要な場所もあります。
マンションか戸建てか
老後の住まいの選択肢として、マンションにするか戸建てにするのかという問題もあります。マンションと戸建てのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
マンションのメリット・デメリット |
戸建てのメリット・デメリット |
防犯面で安心 |
リフォームしやすい |
オートロックなど防犯対策がしっかりしているマンションであれば、防犯面で安心でしょう。しかし、マンションは戸建てよりも騒音トラブルが起こりやすいというデメリットもあり、注意が必要です。
一方で、戸建てにはリフォームしやすいというメリットがあります。手すりの設置や間取りの変更など自由度が高いのは戸建ての良さといえます。
ただし、戸建ての場合の修繕費は自分で負担しなければいけません。マンションのように家賃や管理費はありませんが、修繕費がかかることはデメリットです。
状況に合わせた高齢者向けの住まいの選び方
一言で高齢者といっても、「元気なケース」と「介護が必要なケース」があります。ここでは、それぞれのケースに合った高齢者向けの住まいを紹介します。
元気な高齢者向けの住まいは以下の3つです。
- 自立型サービス付き高齢者向け住宅
- 高齢者向け賃貸住宅
- 健康型有料老人ホーム
上記の住まいは元気な高齢者が中心となっており、一般の賃貸住宅と同じような設備が用意されています。外出や料理、人を招くことなども可能です。
ただし、「自立型サービス付き高齢者向け住宅」は一般の賃貸住宅より家賃が高くなることがあります。また、上記の3つの住まいでは介護サービスを提供していないため、介護度が上がった場合は住み替えを考えなければいけないかもしれません。
続いては、介護が必要な高齢者向けの住まいについてお伝えします。
- 介護型サービス付き高齢者向け住宅
- 介護型有料老人ホーム
- 特別養護老人ホーム
「介護型サービス付き高齢者向け住宅」や「特別養護老人ホーム」では、駐在の介護スタッフから24時間の介護サービスを受けることができます。
そのため、生活に補助が必要になっても、これまでと同じ生活が送りたい人に選んでほしい住まいといえます。
また、「介護型有料老人ホーム」や「特別養護老人ホーム」では、看取りまで対応してくれることも多く、一生の住まいを選びたい人におすすめです。
しかし、上記の中で「特別養護老人ホーム」の費用はお手頃のため、要介護認定3以上という入居条件があることに注意が必要です。
老後の住まいは元気なうちに検討する
老後の住まいの問題は、元気なうちに考えておくことが重要です。高齢になり安定収入がなくなると、賃貸物件を借りられないことがあるからです。また、老後を迎えたときに、自分が元気なのか介護状態なのかによっても入居できる住宅が異なります。
居住形態や住む場所だけではなく、老後の資金や自分の健康状態などについても、今から考えておきましょう。