住宅ローンの借換えを検討してます。固定と変動金利どちらがいいの?

住宅ローンを借換えする際、金利のタイプを選択できることはご存知でしょうか?
今よりも金利が低ければ何でも良いということではなく、自身のリスク許容度によっても選ぶべきタイプは変わります。
借り換えたあとに後悔しないよう、選択できる金利タイプと特徴は事前に把握しておきましょう。
この記事では、住宅ローンの「固定金利」「変動金利」の特徴を解説していくとともに、選び方のポイントなどについて詳しく解説していきます。

目次

住宅ローンの金利は3つのタイプがある

住宅ローンの金利は3つのタイプがある
住宅ローン金利には、大きく分けて「変動金利型」「固定金利期間選択型」「固定金利型」の3タイプがあります。
最初の住宅ローンにフラット35を選択した人は固定金利しかなじみがないでしょう。
ここで、3つの金利タイプの特徴を解説します。

【変動金利】
変動金利は一定期間ごとに適用金利が見直され、借入期間中に金利が変動するタイプです。
金利が見直されるのは半年に一度ですが、返済額については急に増えないように5年ごとに見直されます。
変動するリスクがある分、固定金利に比べて金利が低めに設定されるメリットがあります。
金利の変動が大きい場合、返済額が上がったとしても従来の1.25倍までに抑えられるのも特徴です。

ただし、借入時点で返済額が確定しないため、返済期間中に金利が上昇することで当初見込みよりも返済額が増える可能性があるのがデメリットです。

【固定金利期間選択型】
固定金利期間選択型は、借り入れしたあとの一定期間は固定金利が選択され、その期間終了後は自動的に変動金利に変更または再度固定金利を選択できるタイプです。
選択できる期間は金融機関によって異なりますが、一般的には2年・3年・5年・7年・10年・15年・20年・25年のいずれかから選択できます。

【固定金利】
固定金利は文字通り、借入当初から返済が終わるまで金利が一律になっています。
住宅金融支援機構が提供する「フラット35」も固定金利の住宅ローンです。
返済額が借入時点で確定するため、のちに金利見直しが行われることもありません。返済計画が立てやすく、家計管理も簡単な点がメリットです。

ただし、同じタイミングに同じ金融機関で比較するなら、変動金利と比べて金利が高いデメリットがあります。

借換えの際に金利を選択するポイント

借換えをするにあたって、変動金利と固定金利のどちらを選択すれば良いのかは人によって変わります。
今回は現在借りている金利タイプから、借換えで金利タイプを選択する考え方のポイントを見てみましょう。

【現在は変動金利で契約している場合】
現在は変動金利を選んでいるということは、他のタイプよりも金利が低い状態です。
単に金利が低い以外のメリットを見出すことが大切です。

ポイントになるのは「今後の金利上昇」でしょう。

現在は空前の低金利と言われる状態ですが、今後の金利動向は誰にも読むことはできません。
金利上昇の幅によっては5年に一度、返済額が1.25倍になる可能性はゼロではありません。
フラット35をはじめとした長期間固定金利の住宅ローンを選択することで、今後もし金利が上昇したとしても、返済額が増加する事態を防ぐことができます。

ただし、変動金利から固定金利に借換えると毎月の返済額は上がる可能性が高いです。
今後に変動金利が上昇しない場合、結果的に固定金利にしなかった方が安く収まることも考えられます。

よって。「心配だから」とすぐに変更をする必要はありません。
金利が上昇したとしても、実際に返済額が上がるのは5年後です。
半年に1度の金利見直しのタイミングで今後の金利を確認したあと、固定金利に変えるか否かを選択しましょう。

【現在は固定金利期間選択型で契約している場合】
固定金利期間選択型は当初選択した期間は常に返済額が固定されています。
今後も一定期間は返済額を固定したい、かつ変動金利に切り替える選択肢を残したいなら、同じ固定期間選択型が借換えの候補になるでしょう。

【現在は固定金利で住宅ローンを利用している場合】
固定金利型は借入金利が固定されているタイプなので、返済終了までずっと同じ返済額が続くことになります。
収入から住宅ローンの返済額を引いた残りで子どもの教育資金や老後資金の準備などを進められるため、長期の計画的な返済に向いています。
今後も今までと同様に計画的に返済したいなら借換え先のローンも固定金利を選択することをおすすめします。

ただし、固定金利同士では、変動金利に借り換えるのと比べれば大きな金利差にはなりません。
一般的に借換えで返済総額が安くなるには金利差が1.0%以上は必要とされています。
あまり金利に差がない場合、借換えしてもメリットが生まれない可能性がある点には注意が必要です。

金利変動のリスクを許容できるかによって固定金利・変動金利を選ぶ

借換えをするにあたって、候補になりやすいのが「変動金利」の住宅ローンでしょう。
実際に金融機関で積極的に宣伝している借換え用のローンは、その多くが変動金利のローンです。

変動金利は利率が低く、「返済額を少なくしたい」という借換えのメリットを享受しやすいのが特徴です。
ただし、将来金利が上昇した場合に返済負担が大きくなってしまう可能性があるというリスクもあります。

つまり、変動金利は将来の金利変動のリスクを借り手が背負うローンであるということです。

一方の固定金利は今後にどれだけ金利が上昇しても返済額は一定です。
金利上昇リスクは金融機関が負うことになります。

金融機関が変動金利の住宅ローンを販売するのは「リスクを負わずにメリットを訴求できるから」という側面もあるのです。

この金利上昇リスクを許容できるのか、変動金利を選択する前によく考えておきましょう。

住宅金融支援機構のシミュレーションで試算したところ、借入期間35年の金利0.4%で3,000万円を借りた場合、毎月の返済額は76,557円でした。
ただ、5年ごとに金利が0.5%ずつ上がると仮定すると6年目からは82,332円、11年目からは87,394円、16年目以降は91,636円と、当初よりも返済金額が上昇する結果になりました。

現在の低金利がいつまで続くかは誰にも分かりません。
変動金利を選択するなら、金利が上がらないうちにできるだけ返済を進めたいものです。

借換え後は繰り上げ返済を活用して返済期間を短くすることで、金利変動のリスクを抑えられます。
また、返済の方式を「元利均等返済」ではなく「元金均等返済」にすることも、リスクを抑えるうえでは有効です。

元金均等返済は「毎月支払う返済額のうち、元金の額が一定になる」方式です。
一定の元金に残債残高に応じた利息が加わるため返済開始当初の返済額が高く、当初の返済負担が重いデメリットがあります。
反面、返済が進むと元金が減る分だけ上乗せされる利息が小さくなり、毎月の返済額が少しずつ安くなるメリットがあります。
毎月一定額を返済する元利均等返済と比較して元金の減少が早く、最終的な返済総額は少なく済みます。

借換え時は金利以外にかかる諸費用にも注意

目先の金利差だけでなく、あくまでも総額で検討することが重要です。
住宅ローンの借換えは思っている以上の事務手数料がかかります。
新規で住宅ローンを借りた際にローン保証料や印紙税、事務手数料を支払ったことを覚えている人もいるでしょう。
新しく借換え先のローンを組むことになれば、同じように諸費用がかかります。

借換えにあたって必要になる諸費用の内訳は以下のとおりです。

・抵当権の設定・抹消登記に係る登録免許税
・一括繰り上げ返済手数料
・ローン保証料
・印紙税
・事務手数料
・司法書士報酬 など

特に事務手数料やローン保証料が高額で、全て合わせると50万円以上になることも珍しくありません。

借換えの際は見た目の金利差だけでなく、諸費用まで含めて返済総額を抑えられるのかシミュレーションをしてみることが大切です。

まとめ

住宅ローンの借換えの際は金融機関やローンの種類に応じて「変動金利」「固定金利期間選択型」「固定金利型」の選択肢があります。
金利差だけを考慮すると変動金利が候補になりますが、借換え後の金利変動リスクを自身で負うことになる点には注意が必要です。
単に金利差だけでなく、金利変動リスクや諸費用まで含めてお得かどうか、納得してから借換えを実行するようにしましょう。

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