家は購入と賃貸どちらがお得?

「住宅の居住志向及び購買等に関する意識調査」によると、「持ち家派と賃貸派どちらですか?」という問いに対し、持ち家派と答えたのは74.5%、賃貸派と答えたのは25.5%でした。

この調査では持ち家派が約7割を占めていますが、2014年以降最も低い割合です。反対に、賃貸派は2014年以降最も高く、賃貸派が増えていることが分かります。

なお、持ち家派のなかでは一戸建てがマンションよりも多く、約6割を占めているという結果でした。

目次

購入のメリット・デメリットは?

一戸建てやマンションを購入する主なメリットは以下のとおりです。

・資産になる
・間取り決めやリフォームなどが自由
・ローンを完済すると住居費の負担が軽くなる
・税制上のメリットがある

購入の場合は、家が資産になります。住宅ローンを完済した後、物件によっては売却や賃貸することも可能です。

自分が所有するため、間取りや設備などを自由に決められます。
リフォームなども自由に行えるため、より好みやライフスタイルに合った物件で暮らすことができるでしょう。

住宅ローン完済後は毎月の支払いがなくなり、住居費の負担が大きく減ります。
住宅ローンを完済していれば、年金暮らしになったときや病気で働けなくなった場合も安心です。

また、住宅ローンには団体信用生命保険があります。
賃貸の場合は働けなくなったときも家賃を支払い続ける必要があるので、この点も安心材料になるでしょう。

さらに、税制上の優遇を受けられるのも購入のメリットです。
住宅購入資金を両親や祖父母から贈与してもらう場合は、要件を満たせば贈与税が一定額まで非課税になるため、負担を抑えられます。

続いて、一戸建てやマンションを購入するデメリットについてみていきましょう。

 ・気軽に住み替えできない
 ・維持コストや税金がかかる
 ・収入が下がっても住居費を下げにくい

購入すると、賃貸のように気軽に引越しができません。

例えば、転勤になった場合は、家族と離れて単身赴任などを検討する必要があるでしょう。
転勤により家族が離れて暮らす場合、会社の住宅手当などがないと住宅費が二重にかかり負担が重くなります。

購入の場合は維持費や税金にも注意が必要です。

一戸建ての場合、設備の交換費や修繕費、固定資産税・都市計画税などがかかります。

マンションの場合は、毎月の修繕積立費や管理費、駐車場代などが必要です。
マンションの修繕積立費や管理費は、築年数が経つほど高くなりやすい点にも注意しなければなりません。

また、収入が下がった場合に住居費を調整しにくいのも購入のデメリットでしょう。
収入が減っても住居費を下げられなければ、家計の負担が大きくなります。

賃貸のメリット・デメリットは?

賃貸の主なメリットは以下のとおりです。

・いつでも引越しできる
・メンテナンスのコストがかからない
・収入の増減に応じて住居費の調整がしやすい

最大のメリットは、ライフステージなどの変化に応じていつでも気軽に引越しできる点です。

転勤がでた場合や子どもが増えて部屋数を増やしたい場合、住む地域を変えたい場合なども柔軟に対応できます。

また、メンテナンスのコストがかからないのもメリットのひとつ。賃貸の場合は、設備などが古くなっても修繕費を負担する必要がありません。

さらに、購入とは違い収入の増減に応じて家賃の調整がしやすいのも特徴です。収入が減ったとしても、家賃が安い物件に引っ越せば家計の負担を抑えられます。

続いて、賃貸のデメリットをみていきましょう。

・家賃を支払い続けなければならない
・間取りや設備を決められない
・高齢の場合は契約や更新がしにくい

賃貸のデメリットは、住んでいる限り家賃を支払い続けなければならない点です。購入は住宅ローンを完済すれば住居費の負担が大きく減りますが、賃貸は支払いがずっと続きます。

定年退職をしてからも家賃を支払い続けなければならないので、負担に感じるでしょう。

また、賃貸の場合は間取りや設備などを自由に決めることができません。購入と比べて、自分に合う物件を見つけるハードルは高くなります。

インターネット環境がない、欲しいところにコンセントがないなど、日常のなかで不便に感じることがあるでしょう。

さらに、賃貸の場合、高齢になると契約や更新のハードルが上がる点にも注意が必要です。

持ち家に50年住む場合のコストシミュレーション

持ち家に50年住む場合のコスト・賃貸で50年住む場合のコストを比較しました。
 
【持ち家に50年住む場合のコスト】

一戸建てを購入する場合は、住宅ローンの返済に加えて、購入時の諸費用や外壁などの修繕費、内装や設備などのリフォーム費、固定資産税などがかかります。

一戸建てを購入して持ち家に50年間住む場合のコストを、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。

物件価格:4,500万円
自己資金:500万円
借入額:4,000万円
返済期間:35年
全期間固定金利:1.5%
住宅ローン返済額:122,473円

購入の場合のコストは7,469万円という結果になりました。なお、今回の試算では住宅ローン減税などは考慮していません。

賃貸物件に50年間住む場合のコストシミュレーション

【賃貸で50年住む場合のコスト】

次に、賃貸物件に50年間住む場合のコストをシミュレーションしてみましょう。

賃貸の場合は、毎月の家賃に加えて更新料、入居時の費用、引越し費用がかかります。ここでは家賃を月13万円とし、2年に1度更新、引越し3回と想定して試算しました。

今回の試算を比較すると、購入の場合は7,469万円、賃貸の場合は8,302万円となり購入の方がコストがかからない結果でした。実際のコストは物件や地域などによっても大きく異なるので、あくまでも参考程度に捉えてください。

なお、購入と賃貸のコストを比較する際には、金額だけでなく支出の内容が異なる点も理解しておきましょう。

賃貸の場合、家賃は大家さんに支払うものであり自分の資産にはなりません。一方、購入した場合は毎月住宅ローンの返済をしていきますが、元金部分については一部が資産になります。

老後は購入と賃貸どちらが安心?

老後生活は購入と賃貸どちらが安心なのでしょうか。老後生活を考えた場合、購入には以下の特徴があります。

・住宅ローンを完済していれば住居費の負担が少ない
・住む人数が少なくなったときに対応しにくい

住宅ローンを完済していれば毎月の住宅ローン返済がなくなるため、家計への負担がかなり軽減されます。老後も安心して暮らせるでしょう。

ただし、修繕費や固定資産税などのコストはかかります。

子どもの独立などで住む人数が減ったときに気軽に住み替えられないといった注意点もあります。

一方、老後生活を考えたときの賃貸の特徴は以下のとおりです。

 ・老後も家賃を支払い続けなければならない
 ・契約や更新のハードルが上がる
 ・収入や住む人数が減ったときに気軽に引越しできる

賃貸は、住んでいる限り家賃を支払い続けなければなりません。働いているときは払い続けられたとしても、年金暮らしになると負担に感じる可能性があります。

また、高齢になると契約や更新がしにくくなるのが懸念点です。住み続けられるか分からないという不安が付きまとうでしょう。

一方で、収入が減った場合や子どもが独立して夫婦2人になった場合などに気軽に引越しできるのはメリットです。

購入と賃貸を選ぶ際には、どんな老後生活を送りたいのかも含めて検討しましょう。

購入と賃貸どちらが向いている?

購入と賃貸どちらが向いているのかは、家族構成やライフスタイルなどにより異なります。

購入が向いているのは以下のような人です。

・収入が安定している人
・引越しの予定がない人
・頭金をたくさん用意できる人
・退職までに住宅ローンの完済を見込める人

購入の場合は毎月住宅ローンを返済していく必要があるので、収入が安定している人は適しているでしょう。貯蓄が多く頭金をたくさん用意できれば、住宅ローンの返済総額を抑えられます。

老後に住宅ローンの支払いがないと家計の負担を軽減できるため、退職までに完済を見込める方にも購入がおすすめです。

一方、賃貸が向いているのは以下のような人です。

・転勤が多い人
・収入が不安定な人
・ライフステージなどの変化に対応したい方

転勤族など引越しの予定がある人は、賃貸が向いています。収入が減った場合に住居費を調整しやすいので、収入が不安定な方にも適しているでしょう。

また、賃貸であればライフステージなどが変わるごとに柔軟に対応できます。

購入と賃貸に正解はない

購入と賃貸どちらが正解というものはありません。どちらにもメリット・デメリットがあります。

コストや家族構成、働き方、老後の暮らし方などさまざまな視点から、自分にとって購入と賃貸どちらが良いのかを検討しましょう。

目次