近年、老後2000万円問題などの老後資金に関するニュースが広く認知されるようになり、老後に不安を感じている方が増えています。そんな老後の不安の解決策として注目されているのが、リバースモーゲージです。
リバースモーゲージは、自宅を担保に自宅に住み続けながら老後の生活資金を借入れできる商品のことです。ここでは、リバースモーゲージの仕組みやメリット、デメリットについてお伝えします。
また、リバースモーゲージの利用が向いている人と向いていない人についても紹介しますので、検討する際の参考にしてください。
リバースモーゲージとは？
リバースモーゲージとは、自宅を担保に自宅に住み続けながら老後資金を借入れできる高齢者向けのローン商品です。住宅ローンは、一括で受けた融資の元本と利息を毎月返済していくという仕組みです。
しかし、リバースモーゲージは利息のみを毎月返済する仕組みです。つまり、リバースモーゲージの返済負担は住宅ローンよりも少ないといえます。
リバースモーゲージには、社会福祉協議会が取り扱うものと金融機関が取り扱うものがあり、それぞれ仕組みが異なります。
社会福祉協議会が提供するリバースモーゲージは、借り入れた人の死亡後に相続人が元金と利息の返済義務を負います。一方、金融機関が提供するリバースモーゲージでは、借り入れた人が毎月利息を返済し、相続人は自宅を売却することで元金を返済します。
リバースモーゲージが注目されている理由とメリット
リバースモーゲージが注目されている理由は、毎月の支払いが利息のみで返済負担を減らすことができるからです。年金生活で収入が減り、住宅ローンの返済負担が重いと感じる人もいるでしょう。そんなときには、住宅ローンからリバースモーゲージに借り換えることで、返済額を抑えることができます。
また、自宅に住み続けながら老後資金の借入れができることもメリットです。万が一契約者が死亡したとしても、配偶者が契約を引き継ぐことができる金融機関もあり、配偶者のリスクを避けることができます。
金融機関が提供するリバースモーゲージの中には、借入金の使用用途を自由としているところもあります。住宅ローン返済資金や老人ホームの入居資金、老後の生活資金などに利用できる点もメリットです。
リバースモーゲージについて知っておくべき危険性とデメリット
メリットの多いリバースモーゲージですが、次のような危険性やデメリットもあります。
- 不動産価値の下落
- 金利変動リスク
- 長生きのリスク
上記の中で最も知っておくべきリスクが、「不動産価値の下落」です。融資限度額は担保となる不動産の評価額で決められますが、評価額の見直しは数年ごとに行われます。
借入額が融資限度額を超えてしまうと、超過した分の返済が必要となってしまいます。そのため、はじめから融資限度額まで借りないよう注意しましょう。
また、多くのリバースモーゲージは変動金利での契約となります。金利が上がれば、毎月の返済額が増えるリスクがあるため注意が必要です。
さらに、長生きすることもリバースモーゲージの利用者にとってはリスクになります。金融機関のリバースモーゲージの中には、長期返済のリスクを避けるため、期限付きの契約もあるからです。
例えば、85歳までのリバースモーゲージを利用した場合、85歳時に生きていても一括返済する必要があります。生存中に家を失ってしまうリスクを避けるために、契約終了日が「契約者の死亡日」となっている商品を選びましょう。
リバースモーゲージがおすすめな人とおすすめできない人
リバースモーゲージは、自宅を担保に老後資金を得ることができ、月々の返済負担を減らせるが、最終的には自宅を売却することになるローン商品といえます。では、リバースモーゲージがおすすめな人とおすすめできない人はどのような人なのか、具体的に見ていきましょう。
リバースモーゲージがおすすめな人
リバースモーゲージがおすすめな人とは、次のような人です。
- 相続人がおらず、家をのこす必要がない人
- 住宅ローンの返済負担が辛いと感じている人
- 将来的に有料の老人ホームに入居しようと考えている人
相続人がおらず、残す必要がない人にとって、リバースモーゲージはおすすめです。リバースモーゲージは、最終的に自宅を売却することになるためです。
また、住宅ローンの返済負担が辛い人は、リバースモーゲージに借り換えをすることで、返済額を減らせる可能性があります。住宅ローンの見直しを考えている場合は、50歳以上など若くから申し込めるリバースモーゲージを検討してみるのも良いでしょう。
さらに、将来的に有料老人ホームへの入居を考えている人にもリバースモーゲージはおすすめです。老人ホームの高額な入居費用を準備するのは大変ですが、リバースモーゲージを利用することで、まとまった資金を確保することができるでしょう。
リバースモーゲージがおすすめできない人
リバースモーゲージがおすすめできない人とは、次のような人です。
- 相続人がおり、家を財産として残したい人
- 子どもと同居している人
- 相続人の返済負担が気になる人
リバースモーゲージは、借り入れた人の死後、担保となる自宅を売却して返済する仕組みです。そのため、「相続人に家をのこしたい」と考えている人にはおすすめできません。
また、同居している子供がいる場合は、リバースモーゲージを利用する前に同居人の同意が必要です。これは、リバースモーゲージを利用して自宅を売却してしまうと、同居人が家を失うリスクがあるためです。
リバースモーゲージを利用すると、利用者の死後、相続人が返済義務を負う場合があります。担保の自宅の売却額が想定よりも低かった場合、相続人が残りを返済しなければいけません。
しかし、リバースモーゲージの「ノンリコース型」を選べば、相続人が返済する必要はありません。そのため、「ノンリコース型」は、相続人に残債の返済義務がある「リコース型」よりも金利が高く設定されています。相続人の負担を考えるのであれば、ノンリコース型を利用するという選択も良いでしょう。
