日本の総理大臣 岸田文雄氏は5月上旬にイギリスで行われた講演で「貯蓄から投資へ」の政策を打ち出しました。これはロンドンの投資家に向けて言った言葉ではありますが、総理大臣が打ち出したい以上、今後も日本にも貯蓄から投資の流れは訪れるでしょう。ただ、投資をしたことがない方にとっては、貯蓄から投資と言ってもなにから始めて良いのか迷ってしまいますよね。この記事では、投資でリスクを抑えて安定したリターンを得る方法や、主な投資方法について紹介しています。
貯蓄から投資へ
貯蓄から投資へと政府が言い始めた時期は意外に古く、2001年と言われています。政府が投資を勧める理由は、貯蓄は低金利なのでほとんど増やすことができないためです。
NISAやiDeCo(イデコ)など、投資をする方むけに税制優遇制度も用意していますが、まださほど日本は投資が盛り上がっているとは言えない状況です。
投資をしないと資産の価値が下がる?
世の中の物価の価値が上昇しているのに、お金を手元に現金で持っているとお金の価値が相対的に減少していることは知っているでしょうか?不思議に思うかも知れませんが、例えば、スーパーの食品が全商品5%値上がりをしているのに、自分の給料が全く変わっていないという状況を考えたらわかりやすいかも知れません。
例えば世の中の物価が2%上昇しているとしたら、何らかの投資を取り入れて手元の資産を物価上昇2%を超える利回りで運用しないと、資産価値は目減りしてしまうのです。
なお、物価上昇が上昇することをインフレといい、インフレによって自分の資産が目減りするリスクのことをインフレリスクといいます。
また、インフレリスクの対策として、株式や債券への投資、あるいは円以外のドルやユーロなど外貨も保有する通貨分散も有効な方法です。
投資にはリスクがある
最大の原因は、投資は元本割れするリスクがあるということでしょう。貯蓄であれば基本的に金融機関が破綻しない限りは、元本割れをすることがありません。かつて日本は、1年物の定期預金の金利が6.08%という時期もありました。これは約12年預ければ資産が倍になるほどの水準です。
このように安全な資産でお金が増える時期があったために、日本は過度にリスクをさけるようになってしまったかも知れません。
投資は確かに市場環境や金利動向によっては、元本割れする可能性はありますが、運用次第では大きく資産を増やすことが可能です。さらに投資は分散投資、長期投資、積立投資の3つを組み合わせることでリスクを抑えて安定したリターンを得ることができます。
【分散投資】
投資は1つの商品だけでなく、値動きの特徴が異なる商品を併せ持っておくことでリスクを抑えることができます。例えば、株式と債券は一般的には値動きの特徴が異なります。仮に株式と債券を併せ持っていれば、株式が下落した場合は債券価格が上昇し、損失は抑えられます。逆に債券価格が下落した場合は、株式が上昇するのでこちらも損失は限定的になります。
また、円とドルのように複数の通貨建ての資産を持つことも分散投資に繋がります。
【積立投資】
投資のように値動きをする商品は、毎月一定額を継続的に購入するだけで、平均購入単価が下がり、利益を出しやすくなります。この毎月定期購入して平均購入単価が下がっていく仕組みをドルコスト平均法といいます。
【長期投資】
投資は長期間のうちに価格の上下動を繰り返します。
長期間積立投資を継続していくと、プラスとマイナスを相殺し合い、収益が安定していきます。
投資をするには何からすれば良い?
投資は分散投資、積立投資、長期投資でリスクを抑えられるといっても、全く投資をしたことが無い方にとっては何から始めたら良いのかわからないかも知れません。投資をこれから始めたいと思ったら、何からスタートすれば良いのでしょうか?その手順を紹介します。
【まずは勉強する】
ありきたりですが、全く投資をしたことが無いという方は投資に関する本で勉強することが必要です。本に限らず、動画サイトでも投資に関する有益な情報は見つけられます。
また、証券口座で口座開設をすると、無料のセミナーや投資に関する基礎知識など充実したコンテンツを利用できます。証券口座の開設はほとんどの金融機関が無料なので、口座を開設してこうしたコンテンツを利用してみるのも1つの方法です。
【投資のお金をつくる】
投資をする上で障害になるのが、そもそも投資に回すお金がないことです。
しかし最近は、証券会社によっては100円や1,000円といった少額からスタートすることができるようになっています。
元本が小さいので大きく増やすことはできませんが、元本割れしても家計にとって大きなダメージにはならない可能性が高いのでまずは少額から初めて見ることもおすすめです。
どうしても投資のお金が捻出できない場合は、身の回りで毎月定額で支払っているスマートフォン代金や生命保険料などの固定費に見直しの余地はないか、これを機会に今一度自身の支出を振り返ってみましょう。
投資の種類
投資は株式や投資信託、FXなどさまざまな種類がありますが、代表的な投資商品を紹介します。
【株式投資】
企業の事業活動に投資をして、収益を得る投資手法です。投資家は企業が発行する株式の購入を通じて企業に資金を提供します。
企業は投資で得た資金をもとに事業活動を行い、事業活動が軌道にのって株価が購入時より上昇していれば、投資家は売却することで売却益を得られます。また、企業が事業活動によって得た収益の一部を、投資家に分配金として還元することもあります。
購入する銘柄にもよりますが、一般的に株式投資は投資の中でも最もハイリスク・ハイリターンの投資です。
【投資信託】
株式投資は1つ1つの企業の成長性や、特徴などを理解しておかなければ今後の株価の見通しが立てられません。しかし、仕事で忙しい方や、投資初心者の方のような場合、1つ1つの銘柄を見て比較することは難しいかも知れません。
投資信託なら毎月お金を払うと、そのお金を投資のプロであるファンドマネージャーがさまざまな株式や債券に投資をして運用してくれます。分散投資を自分の代わりにプロが行ってくれるというイメージです。投資信託で運用した結果、利益が出れば、投資家に利益が還元されます。
投資信託を選ぶ必要はありますが、投資信託1つ持つだけでも分散投資の効果があるため、忙しくて投資に時間をかけられない方や、投資初心者の方には向いている投資商品です。
NISAやiDeCoといった税制優遇制度を利用すれば、さらにメリットは大きくなります。
【不動産投資】
アパートやマンションなどを購入し、入居者に貸し出すことで家賃収入を得る方法です。最初に不動産投資を購入するので、大きな自己資金が必要なイメージですが、金融機関が提供する不動産投資ローンを利用することで初期費用は比較的少なくてもスタートすることができます。
不動産価格は、株式ほど値動きは激しくないのでミドルリスク・ミドルリターンの投資にあたります。
【仮想通貨(暗号資産)】
ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨に投資をする方法です。あらたな価格の安いあらたな仮想通貨(暗号資産)も登場しているので、値上がりすれば極めて大きなリターンを狙える可能性もあります。ただし、価格の上下が極めて高いので投資初心者の方や、投資の元手にあまり余裕がないかたは注意が必要です。
まとめ
「貯蓄から投資へ」という政府の方針は、かなり前から政府が国民に訴えていることですが、ここ最近はまた政府が力を入れ始めています。
ただ、そうはいっても投資にはリスクがあるためなかなか始められないという方はいるかも知れません。投資は、分散投資、積立投資、長期投資を心がければある程度リスクを抑えて安定したリターンを出すことができます。
おもな投資としては、株式投資、投資信託、不動産投資、仮想通貨などがありますが、初心者の方は、プロのファンドマネージャーが自分に代わって分散投資をしてくれる投資信託がおすすめです。
また、全く投資が初めてという方は、まずは本やインターネットから情報収集を始めるところからスタートする必要があります。証券口座を開設して、証券会社の無料の投資情報コンテンツをフル活用することもよい方法です。