家計の見直しを行う際、「何から見直せば良いのかわからない」といった家庭は多いでしょう。また、具体的にどのような部分をどのようにして改善をしていけば良いのかわからず、結果的に改善ができない家庭も多いです。
家計を見直す際は、支出ごとにいくつかのグループに分けた上で改善できる点を見極めていきます。
この記事では、家計を見直す際のポイントや見直しの優先度、注意事項などについて解説しています。家計の見直し方法がわからないという家庭は、ぜひ参考にしてください。
【FP直伝】家計の見直しポイント5選
家計の見直しを行う際は、以下5つのポイントに注目してください。
- ついで買い
- 変動費
- 固定費
- 通信費
- 保険
まずは、ファイナンシャルプランナーが家計を見直す際のポイントについて詳しく解説します。
「ついで買い」の見直し
家計の見直しを行う際は、初めに「ついで買い」を確認しましょう。
ついで買いとは、普段の買い物で「ついでに〇〇も買っておこう」という状況のことを指します。コンビニやスーパーマーケットなど、多くの人が日常的に行くお店では、ついで買いを戦力的に行っています。
しかし、各家庭で見るとついで買いしたものは大した必要ではないもの、なくても困らないものであることが多いです。
たとえば、スーパーマーケットの夕飯の買い物をするためにレジに並んでいると、目の前にスイーツが「特売品」として売られていたとしましょう。
元々、スイーツは買う予定ではなかったものの「今日は疲れたから甘いものを食べたい」や「特売品だから」といった理由から、夕飯の買い物ついでにスイーツなどを買ってしまった経験がある人も多いでしょう。これがいわゆる「ついで買い」です。
本来であれば買う予定ではないもの、なくても困らないものを「ついでに…」と思わせて購入してもらう戦略です。
たかが数百円程度のものであっても、1か月にすれば数千円〜数万円の出費になっている場合もあります。そのため、レシートを見直し、ついで買いを改める努力をすることが家計見直しのポイントです。
また、ついで買いを抑えるためには、まとめ買いが有効です。買い物へ行く回数が減るため、ついで買いをする回数を減らせます。
変動費の見直し
変動費とは、毎月の支出の中で変動する可能性がある費用を指します。一般的な変動費は以下のとおりです。
- 食費
- 交際費
- 医療費
- 美容費
- 特別費
など
家計を見直す際は、上記のような変動費の見直しも必要です。たとえば、外食やデリバリーなどを繰り返し、食費が嵩むようであれば改める必要があるでしょう。
ただ、突発的に変動費が高額となった場合は、大きく改善する必要はありません。たとえば、家族の入院に伴い医療費が高額になった場合などが該当します。変動費は確認する程度で必要に応じて改善をしていくと良いでしょう。
固定費の見直し
固定費とは、毎月必ず発生する決まった費用です。具体的には、以下のような費用が該当します。
- 居住費
- 光熱費
- 自動車関係費
- 教育費(習い事等)
など
固定費は、毎月一定で必ず発生する費用であるため、改善できる部分があれば家計へ与える影響は大きいです。居住費を下げられないか?光熱費をもう少し節約できないか?といったところを検討されてみてはいかがでしょうか。
たとえば、電力会社を自分の経済圏に変えてみると、固定費を抑えられる可能性があります。電力自由化により、さまざまな電力会社を選択できるようになった今、家計を見直す際のポイントのひとつになり得るでしょう。
通信費の見直し
通信費とは、携帯代やWi-Fi環境の固定費を指します。
大手キャリアの携帯電話を利用している場合は、格安SIMへ乗り換えることにより大幅な家計の見直しに期待ができます。たとえば、家族4人で毎月1万円ずつ、合計4万円使っている場合、格安SIMに乗り換えることで毎月5,000円ずつ合計2万円程度まで抑えられます。
毎月2万円の固定費(通信費)削減は、大幅な家計の改善に寄与します。
また、Wi-Fi設備も携帯電話とのセット割引を利用することで、お得に利用できる場合があります。通信費は通信費として、今以上にお得に利用できないか?と改善を試みてはいかがでしょうか。
保険の見直し
保険料も毎月の固定費として大部分を占めているため、改善できれば家計へ与える影響は大きいです。保険料を見直す際は、以下のポイントを参考にしてください。
- 過剰保障になっていないか?
- 本当に必要な保障に加入できているのか?
- 掛け捨て型・貯蓄型、どちらが向いているか?
保険加入後、何年も見直しを行っていない場合は、過剰保障となっている場合や保障が不足している場合があります。これらを見直すことで、保険料を抑えられる可能性があります。
また、現在貯蓄型に加入されている人の中には、家計の見直しに伴い、掛け捨て型へ変更されたほうが良い場合もあります。逆に、貯蓄がうまくいっていない場合や、家計の見直しで余裕が出た場合に貯蓄型への変更を検討したほうが良いケースがあります。
さまざまな可能性があるため、定期的な保険の見直しを行い、合わせて家計の見直しや改善を心がけると良いでしょう。
【世帯別】家計見直しの優先度
家計を見直す際の5つのポイントについて紹介しました。中には、「何から優先的に改善をしていけば良いのだろうか?」と悩まれている人もいるのではないでしょうか。
次に、単身世帯から複数人世帯別に家計の見直しを行う際の優先順位について詳しく解説します。
単身世帯の優先順位
単身世帯の優先順位は以下のとおりです。
- 通信費
- 変動費
- ついで買い
- 保険料
- 固定費
単身世帯の場合、母数が少ないため全体的な見直しを行って改善を目指したほうが、家計へ与える影響は大きいです。
中でも、通信費はもっとも改善できる部分が大きい費用であるため、優先度は高めです。次いで、変動費やついで買いのいわゆる「無駄遣い」の部分がないか?を確認、改善していくと良いでしょう。
保険料や固定費の見直しによる改善も必要ですが、現状で必要最低限であるケースが多く、大きな改善を見込めない可能性があります。そのため、優先順位は低めです。
複数人世帯の優先順位
複数人世帯の優先順位は以下のとおりです。
- 通信費
- 保険料
- 固定費
- ついで買い
- 変動費
複数人世帯の場合、単身世帯と比較して固定費の削減による家計への影響は大きいです。中でも、通信費や保険料は大幅に改善できるケースが多いため、優先順位は高めです。次いで、固定費の削減を行うことができれば、大幅な改善を見込めます。
ついで買いの改善を行うことで家計へ与える影響はあるものの、複数人世帯での家計単位でみると影響が大きいとは言えません。よって、優先順位は低めです。
また、変動費は最低限度しか利用していないケースが多いため、確認・必要に応じて改善する程度で良いでしょう。
家計を見直す際の注意事項
家計を見直す際は、以下のことに注意してください。
- 見直し前に家計収支の洗い出しを行う
- 無理のある節約を行わない
見直し前に家計収支の洗い出しを行う
家計収支の見直しを行う際は、必ず現在の収支を洗い出してください。この作業を行わなければ、何を改善できるのか、改善できる余地があるのかを把握できません。
そのため、毎月いくらの収入があり、何にいくらの支出があるのか可能な限り具体的かつ長期的なデータ収集を行ってください。そうすることで、改善すべき点が目に見えてわかるようになります。
無理のある節約を行わない
無理のある節約を行わないでください。
多少無理をすることで家計の大幅な改善に期待ができるかもしれません。しかし、無理をすることでストレスが溜まり、長く続かなかったり反動で大きな支出になったりする可能性があります。そのため、無理な節約を行わないことが大切です。
たとえば、携帯電話会社を格安SIMへ乗り換えた場合、受けられるサービスに大きな差はありません。この場合、とくにストレスを感じることなく、固定費(通信費)を抑えられます。
一方で、食費を抑えることに注力しすぎ、食べたいものを食べられない、飲みたいものを飲めないといった状況が続くとストレスが溜まります。結果的に、長く続かなくなり、家計の収支改善が失敗に終わる可能性があるでしょう。
そのため、家計の見直しを行う際は、「自分たちにできるか?無理をしていないか?」を確認した上で進めていくと良いでしょう。