厚生労働省の調査によると、令和3年の男性の平均寿命は81.47歳、女性の平均寿命は87.57歳です。
出典:厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況1主な年齢の平均余命
また、同資料では90歳まで生存する割合は、男性の4人に1人、女性の2人に1人と報告されています。このように、平均寿命の延びにより、老後の生活資金に不安を抱く人は多いのではないでしょうか。
老後の資金問題に備えるには、老後の必要資金を想定することが重要です。ここでは、老後に必要なお金の考え方と、100歳までのライフプランニングについてわかりやすくお伝えします。
現在の家計収支から老後の必要資金を考えてみる
老後の必要資金を準備するには、現在の家計収支を把握することが重要です。収支が家計によって異なるのと同様、老後の必要資金も家計ごとに異なります。
まず、現在の家計の収支を確認しましょう。支出は食費や光熱費、保険料など項目ごとに確認していきます。また、住宅ローンや車のローンなどの負債がある場合も、負債額や返済時期を把握しておきます。
これらの現在の収支から、老後も変わらない支出や減りそうな支出、増えそうな支出について考えてください。例えば、定年で仕事を辞めるのであれば、収入が減ると想定されます。また、長生きをするほど医療費の負担が増え、貯蓄が不足する可能性もあります。
現在の家計収支から老後の必要資金を予想し、資金が足らなくても心配する必要はありません。現在の家計の問題点を把握し、改善していくことが大切です。
100歳までの収支予測表を作成する
人生100年時代と言われる今、定年から10年後、20年後のライフプランだけでは不十分です。では、65歳から100歳までの家計収支がどうなっていくのか、次の例のように収支予測表を作成してみましょう。
夫65歳・妻65歳(無職で年金収入のみ)
夫と妻の1ヶ月あたりの年金受給額:20万円
1ヶ月の支出:25万円
夫婦の貯蓄額:2,000万円
上記のケースで、65歳時の収支と100歳までの貯蓄残高を示したものが次の表です。
65歳:収入 240万円 支出 276万円 貯蓄残高 1,940万円
75歳:収入 240万円 支出 276万円 貯蓄残高 1,340万円
85歳:収入 240万円 支出 276万円 貯蓄残高 740万円
95歳:収入 240万円 支出 276万円 貯蓄残高 140万円
100歳:収入 240万円 支出 276万円 貯蓄残高 -460万円
(※年金額と1ヶ月の支出が100歳まで変わらない場合)
この表から分かるように、毎年60万円の赤字を貯蓄から切り崩すと、98歳のときに貯蓄がなくなります。「98歳まで貯蓄があれば十分」という人もいるでしょう。しかし、健康保険の負担割合の増加や年金の支給開始年齢の引き上げなど、老後の支出はさらに増える可能性があります。
したがって、今ある貯蓄や受け取る予定の退職金だけに頼らず、老後の資金問題に備える必要があります。
老後の資金問題に備えるために今からできる3つのこと
人生100年時代、年金や貯蓄だけでは老後の資金問題の対策として不十分です。100歳まで充実した生活を送るために、今からできることは次の3つです。
- 支出の見直し
- 貯金をする
- 資産運用を活用して長期的な資産形成をする
1つ目に、支出の見直しをします。まずは家賃や保険料、通信料、住宅ローンなどの固定費を見直してみましょう。固定費の見直しには、支出削減効果が続きやすい、無理な節約をしなくて済むというメリットがあります。
次に、自動積立定期預金などを利用し、貯金するクセをつけます。自動積立定期預金とは、毎月決まった額を貯蓄口座に自動で貯めていく定期預金です。少額から指定できるので、目標金額に向けて確実に貯められます。
若い人や現役世代で収入がある人であれば、iDeCoやつみたてNISAといった税制優遇や非課税投資制度の利用もおすすめです。ただし、「貯蓄が全くない」「投資は怖くてやりたくない」という人は、無理に始める必要はありません。投資のリスクを理解し、老後の必要資金について考えた上で、できることから始めましょう。