18歳で成人!?じゃ年金支払いはいつから?

これまで「成人」といえば20歳でしたが、民法改正により2022年4月1日から18歳に引き下げられました。
成人年齢の引き下げにともない、以前は20歳までできなかったことが18歳でもできるようになったものもあります。
では、国民年金の支払いも18歳からに引き下げになるのでしょうか。

この記事では、国民年金の支払いは何歳からになるのかについて明らかにするとともに、保険料が支払えない場合の対処法や国民年金に加入するメリットなどについても解説していきます。

目次

18歳で成人!?じゃ年金支払いはいつから?

日本の公的年金制度について

日本の公的年金には、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金」と、会社員や公務員などが加入する「厚生年金」があります。

ここでは、国民すべてが加入する義務のある国民年金について解説していきます。

18歳から国民年金を支払うことになる?

これまで、国民年金には20歳から加入することが義務づけられていましたが、成人年齢の引き下げに伴い18歳から加入することになるのでしょうか。
また、学生の場合でも年金を支払う必要があるのか、併せて確認していきましょう。

国民年金の支払いは従来通り20歳から

結論からいうと、国民年金の支払いはこれまでと同様に20歳からで変更ありません。成人年齢の引き下げの影響は受けないことになります。

具体的には、20歳になってからおおよそ2週間以内に、「基礎年金番号通知書」や「国民年金保険料納付書」などが同封された通知が送付されます。
保険料は、納付書を使って銀行やコンビニなどで支払うか、口座振替やクレジットカード払いの手続きをとります。

ちなみに、保険料は1か月16,590円です(令和4年度)が、まとめて前払いすると割引が適用されるのでお得です。

学生でも20歳になったら加入が義務に

国民年金には20歳以上のすべての人の加入が義務付けられますが、まだ学生だという人も多いでしょう。

学生でも加入義務があるのか気になりますが、学生でも20歳になると国民年金に加入することになります。そのため、保険料も支払わなくてはなりません。

しかし、学生にとって毎月16,590円を支払い続けるのは簡単なことではないでしょう。

だからといって、未納のまま放置してしまうと年金を受給するときになって受給要件を満たしておらず受給できなくなったり(※)、受給できても減額された金額しか受給できなくなったりする可能性があります。

ではどうすればよいのか、次章で保険料を支払えない場合の対処法を解説します。

※国民年金(老齢基礎年金)の受給要件

国民年金(老齢基礎年金)を受給する要件として、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合計した「受給資格期間」が10年以上ある必要があります。

なお、平成29年7月31日までは25年以上の受給資格期間が必要とされていましたが、法改正により平成29年8月1日から10年に短縮されています。

国民年金の保険料が支払えないとき

国民年金の保険料が支払えないときは、学生であれば「学生納付特例制度」を利用することで納付を猶予してもらうことができます。

ほかにも、とりあえず親に代わりに支払ってもらい社会人になってから返すという方法もあります。

「学生納付特例制度」を利用する

学生納付特例制度とは、国民年金保険料の支払いが難しい学生が申請し承認されると、その年の4月から年度末までの保険料の納付が猶予され、社会人になってから後払いできる制度のことをいいます。

ただし、所得金額が128万円以下という条件があることと、免除手続きは毎年必要になることに注意が必要です。

親に代わりに支払ってもらう

国民年金保険料の支払いが難しい場合は、親に相談し社会人になるまで代わりに支払ってもらう方法もあります。

22歳で卒業できれば2年間立て替え払いをしてもらうことになるため合計約40万円になります。

なお、親が子どもの国民年金を支払った場合、年末調整や確定申告で「社会保険料控除」として全額が所得控除の対象になるため忘れずに申請しましょう。

国民年金に加入するメリット

国民年金の保険料を支払うことは、国の年金制度を支えるうえで大切なことですが、保険料を支払っている加入者にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

【老齢基礎年金が一生受け取れる】
国民年金に加入するメリットとして、まずは老齢基礎年金(いわゆる年金といわれているものです)が一生涯受け取れるということがあります。
老後は年金が主な収入源になることが多いため、生涯を通して受け取れる年金は老後生活を支える大切な資金といえます。

また、民間の生命保険会社でも終身年金保険を取り扱っていますが、保険料は高額になることが多く経済的な負担が大きくなりがちです。
一方、国民年金は年齢にかかわらず保険料が一律で、なおかつ受け取る年金の半分は税金で賄われているので経済的なメリットがあります。

【保険料の全額が所得控除の対象になる】
国民年金の保険料は、支払った金額全額が社会保険料控除の対象になるので節税に役立ちます。
本人の保険料だけでなく、配偶者や子どもの保険料を支払った分も対象です。
年末調整や確定申告の際に、支払ったことを証明する書類を添付し申請すると所得控除を受けられます。

万が一のとき遺族年金や障害年金が受け取れる
国民年金は、原則65歳以上の人が受け取れる老齢基礎年金のほかにも、「障害者年金」や「遺族年金」といったものもあります。

障害者年金は、病気やケガで仕事ができなくなり日常生活にも支障が出ている場合、所定の要件を満たすことで受給できる年金です。

また、遺族年金は、家庭の収入を支えている大黒柱の人や年金受給者が亡くなった場合に、所定の要件を満たした家族が受給できる年金です。

病気やケガなどで働けなくなったり日常生活が送れなくなったりすることはだれにでも起こり得ることです。また、配偶者に万が一のことがないとも言い切れません。こういったリスクにも備えられるのが国民年金のメリットのひとつといえます。

経済の変動に対応できる

日本の公的年金制度では、賃金や物価の改定率を調整することで年金給付水準を緩やかに調整する「マクロ経済スライド」が導入されています。

これに伴い、現役世代の保険料支払い負担が大きくならないよう、収入(保険料等)と支出(年金給付等)のバランスがとれるよう、年金の給付水準が調整されます。

そのため、年金制度に加入してから受給するまでの間に経済社会が大きく変動したとしても、年金の価値が保障されることになるのです。

【成人年齢引き下げ】18歳からできること・できないこと

成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことで、これまで20歳にならないとできなかったことが18歳でもできるようになるものがあります。

ただし、これまで通り20歳までできないこともありますので、ここでまとめて確認しておきましょう。

18歳からできること

18歳からできることには以下のことがあります。

親の同意がなくても次のことができる

  1. 携帯電話の契約
  2. クレジットカードをつくる
  3. ローンの申し込み
  4. 部屋を借りる(賃貸契約)

公認会計士、司法書士、医師免許、薬剤師免許などの国家資格の取得

  • 有効期限10年のパスポートの取得
  • 結婚年齢が男女ともに18歳からに(女性は16歳から18歳に引き上げられる)
  • 性同一性障害の人が性別取扱いの変更審判を受けられる

主にこういったことが18歳になるとできるようになります。なお、普通自動車免許の取得は、これまで通り18歳以上で取得可能です。

20歳までできないこと

一方で、成人年齢が18歳に引き下げになっても次のことは引き続き20歳になるまでできません。

  • 飲酒
  • 喫煙
  • 競馬、競輪、競艇、オートレースなどの投票券の購入
  • 養子を迎える
  • 大型や中型の自動車免許の取得

上記のようなことは、20歳まではできませんので注意しましょう。

国民年金保険料の支払いはこれまで同様20歳から

成人年齢の引き下げに伴い、18歳からできるようになったことがありますが、国民年金保険料の支払いは、これまで通り20歳からです。

20歳になると国民年金に加入する手続きの案内が送付されますので、加入手続きを忘れずに行いましょう。

もし学生で保険料が支払えない場合は、そのまま放置せずに学生納付特例制度などを利用し未納期間のないようにすることが大切です。

関連記事

目次