FP(ファイナンシャルプランナー)とFA(ファイナンシャルアドバイザー)は、どちらもお金に関する相談をできる専門家です。しかし、それぞれ得意分野や名乗るために必要となる資格の有無が異なります。
FPは、家計にまつわるお金の相談、アドバイスを行う専門家であり「ファイナンシャルプランニング技能士」という資格を取得しなければいけません。一方、FAは資産運用などのアドバイスを行う専門家であり、名乗るために資格を取得する必要はありません。
この記事では、FPとFAの違いやそれぞれの専門家に相談できる具体的な例、相談時の注意事項について解説します。
FPとFAは「専門分野」が異なる
FPとFAの主な違いは専門としている分野です。FPの正式名称は「ファイナンシャル“プランナー”」であり、FAは「ファイナンシャル“アドバイザー”」です。
「ファイナンシャル」とは、「金融」や「金融に関係する」、「財政上の」といった意味を表します。
つまり、ファイナンシャル(金融)に関するプランを設計する専門家がFP(ファイナンシャルプランナー)であり、金融のアドバイスを行う専門家がFA(ファイナンシャルアドバイザー)と区別できます。
実務上では、FPは「家計にまつわる金融関連の専門的な知識があり、国家資格を有している人」のことを指します。一方のFAは「個人・法人の財務的な相談やアドバイスを行う専門家」です。
FPは家計のライフプランニングの設計を主な業務としています。ライフプランを提案したりアドバイスをしたりするために必要となる知識を身につけ、顧客に合ったアドバイスを行えるのが特徴です。
一方のFAは、顧客の資産運用や土地活用、相続問題など実務的なアドバイスを行う専門家です。
つまり、FPは家計相談・ライフプランニングが専門分野。一方のFAは、資産運用が専門分野といった違いがあります。
FAは誰でも名乗れる・FPは資格取得が必須
FPとFAの違いには、資格取得の必要性もあります。FPは「ファイナンシャルプランナー技能士検定」に合格しなければ名乗れません。一方のFAは、資格を取得していなくても「私はFAです」と名乗ることができます。
ファイナンシャルプランナー技能士検定は国家資格であり、1級〜3級までの級があります。級によってどの程度の専門的な知識を有しているかといった違いがあります。
また、AFPやCFP®︎といった関連資格(民間資格)があり、これらは定期的に更新手続きを行わなければいけません。そのため、AFPやCFP®︎といった有資格者は、常に新しい知識を身につけているFPである証明になります。
一方のFAは、国家・民間問わず資格としてあるものではありません。つまり、誰でも今日から「私はFA(ファイナンシャルアドバイザー)です」と名乗っても問題はありません。
目に見えて「資格」がないFAは、信頼度を客観的に見ることができない点に注意しなければいけません。ただ一般的に、FAを名乗る人はFP資格を所有しているケースが多いため、FP資格の級や経験値を元に信頼度を確認されてみると良いかもしれません。
【相談内容別】FP・FAに相談できる内容を解説
FPとFAはそれぞれで専門分野が異なります。そのため、「どちらに相談をすれば良いのだろうか?」と悩むことがあるかもしれません。
しかし、FPだから〇〇やFAには〇〇が相談できるといった、明確な基準や法的な基準はありません。なぜなら、FPは国家資格でありながら独占業務が定められていないためです。
FP資格を有している人は、「家計にまつわる金融関連の専門的な知識がある」という事実を裏付けるために資格があります。そのため、FP・FAだから〇〇が相談できるといった基準はありません。
しかし、それぞれに専門分野があるため、入口としてどういった違いがあり、どのような相談ができるのかを把握しておいても良いかもしれません。
FPに相談できる内容
FPは「家計にまつわる金融関連の専門的な知識があり、国家資格を有している人」であるため、家計にまつわる金融相談が可能です。具体的には、以下のような内容を相談できます。
- 家計の見直し
- 教育資金準備
- 老後の生活設計
- 住宅ローン関連(資金準備や見直し)
- 資産運用方法やライフスタイルに合った選び方
- 保険の見直し
- 税制や相続に関連すること
FPに相談できる内容を簡単に表すと、「家計にまつわるお金のこと」です。生活をする上でお金の不安を感じることがあるでしょう。そういった際に、FPに相談をすると具体的なアドバイスをしてもらえます。
FAに相談できる内容
FAは「個人・法人の財務的な相談やアドバイスを行う専門家」であるため、主に資産運用の相談が可能です。具体的には、以下のような内容を相談できます。
- 資産運用に関すること
- 金融商品の取引・アドバイス
FAはファイナンシャルアドバイザーという位置付けになり、コンサルタント的な役割を担います。そのため、一般的には資産運用に関することや、金融商品の取引・アドバイスといった相談を得意としています。
FAは、主に銀行や証券会社など、金融商品を販売している金融機関に在籍しているケースが多いです。また、独立系FA(IFA)として開業している人もいます。相談内容に合わせて問い合わせ先をご検討ください。
FP・FAに相談をするときの注意点
FPやFAに相談をする際は、「相談内容」と「相談料」に注意してください。
FPとFAで相談できる内容が異なる点は、前述の通りです。その中でも、それぞれの専門家に得意分野があります。
たとえば、その他関連資格と合わせて税務相談や不動産相談を得意とするFPがいたり、FPとFAのどちらも得意分野にしている専門家がいたりします。そのため、FPやFAに相談をする際は、相談内容にマッチした分野を得意とする人に問い合わせをすると良いでしょう。
また、FPとFAはいずれも相談料を無料としているケースが多いです。いずれも金融商品の販売や、自社商品の販売を行うことによって利益をあげているためです。
しかし、中には金融商品などの斡旋をせず、相談料で利益をあげているFPやFAもいます。そのため、事前に相談料などを確認した上で問い合わせをするようにしてください。