FP資格は役に立たない、意味がないとの言われるのはなぜか?

FP(ファイナンシャルプランナー)の資格を取得する人は増えていますが、「FP資格を取っても役に立たない、意味がない」という意見を聞くことも少なくありません。

FP資格は、独占業務ではなく専門性がそれほど高い資格ではないことなどから、FP資格を取得しても即座に年収アップに繋がるとは限らないことは確かです。

ただ、その一方で、FP資格を取得してキャリアアップに繋げる人も多く、仕事には繋がらなくてもお金の知識が入ったことで日常生活に役立てている人もいます。

この記事では、FP資格は役に立たない、意味がないと言われてしまう理由について取り上げた上で、FP資格を取得すると役に立つケースについても解説していきます。

目次

FP資格は役に立たない、意味がないと言われてしまう理由

FP資格を取っても役に立たない、意味がないと言われてしまう理由について、FP資格の背景から見ていきましょう

FPの仕事は独占業務ではない

FPの仕事は、保険や投資、税制、相続など幅広いお金の知識をもとに、個々の家庭にあったライフプランを提供することです。

ライフプランニングの作成や、保険や投資、税金や相続の相談といった、FPのお仕事は、FP資格を持っていなければできない独占業務ではありません。

SNSなどを見てみても、有名な経済系インフルエンサーなどが、NISAやiDeCoのおすすめ銘柄や、おすすめ保険などについて話をしていることは少なくないことが分かります。

一方、税理士や弁護士、宅建士、社労士といった資格には、その資格を持っていなければできない独占業務が存在しています。

税理士は確定申告書の作成など税務業務、弁護士は相続など法律業務、宅建士は賃貸の媒介など不動産業務、社労士は公的年金に関する手続きなどは、それぞれの資格の独占業務です。

FPの仕事は独占業務ではないため、単に資格を取っただけで、何か新しい仕事ができる許可が下りるわけではありません。

このため、FPの仕事を取っただけでは、年収アップに繋げられない人が出てしまうのも仕方ないと言えます。

お金に関する幅広い資格であるため専門性が低い

FPは、お金の専門家であることを国が証明した専門資格です。

FPの資格試験は、「ライフプランニングと資金計画」「リスク管理」「金融資産運用」「タックスプランニング」「不動産」「相続・事業承継」という6分野の知識を問う試験に合格することで取得できます。

ただ、FPの試験範囲は、お金についての幅広い知識が問われる内容となっているものの、専門知識として見ると“広く浅く”という側面が強くなっている点は否めません。

税制では税理士、相続では弁護士、不動産では宅建士、年金では社労士、投資では投資アナリストといった資格に比べると、FPは専門性が低いのは確かです。

取得しやすい資格である

FP資格について、需要と供給という観点から見てみましょう。

国家資格としてのFP資格は1級から3級まであり、日本FP協会と金融財政事情研究会(金財)の2つの団体が試験を実施しています。

FP試験は、学科試験と実技試験の2つがあり、両方の試験に合格すれば、晴れてFP資格を取得できる流れとなっています。

FP資格で最も一般的な「FP2級」について、2022年9月試験の受験者数と合格者数は次の通りです。

日本FP協会

受験者数

合格者数

合格率

学科

26,265人

11,074人

42.16%

実技

21,516人

12,167人

56.55%

※出典:日本FP協会

金融財政事情研究会

受験者数

合格者数

合格率

学科

34,872人

5,495人

15.75%

実技

23,392人

8,901人

38.05%

※出典:金融財政事情研究会

2022年9月試験だけでも、FP2級には2団体合計で約15,000人を超える人が合格していることが分かります。

FP試験は年3回実施されているため、年間ではこの3倍となる4万人以上のFP2級合格者が誕生している計算です。

なお、2団体では合格率に差がありますが、金財の受験者は企業の団体受験などが多く、モチベーションが高い個人受験者は日本FP協会で試験を受ける傾向があるためと言われています。

いずれにしても、FP資格は比較的取得しやすい資格であるため合格者が多く、取得者が増えているだけに、取得しても意味がないと思ってしまう人が増えている面はありそうです。

FP資格が役に立つケースとは?

FP資格を取得しても意味がないと言う人がいる一方で、FP資格を取得することでキャリアアップに繋げている人も少なくありません。

FP資格を取得して役に立っているケースについて見ていきましょう。

専門分野に強みや信頼を持たせる

近年は、人生100年時代においてお金の不安が高まっていることもあり、お金の相談についての需要は右肩上がりで増えていることは間違いありません。

お金の専門資格を持つ税理士や弁護士、宅建士などが、付加価値を付けるためにFP資格を取得するケースも増えています。

また、銀行や保険、証券会社、不動産会社に勤務している人が、キャリアアップの一環としてFPの最高難度であるFP1級資格に挑戦するケースもよく聞く所です。

投資家や投資アナリストなどが、副業の一環としてアドバイザー業務などを行う上でも、FP資格取得は説得力を増すものとなります。

FP資格を取得してキャリアアップに繋げている人に共通するのは、FP資格を自らの専門分野について強みや信頼を持たせるために取得しているケースです。

お金のリテラシーを身に付けたい

人生100年時代と言われる現代では、お金に関する仕事に携わっていなくても、より豊かな社会生活を送る上では、資産運用や保険、相続、税制などのお金のリテラシーの重要性が上がっています。

直接的に仕事に繋げられなくても、お金のリテラシーを身に付けるためにFP資格を取得する人も増えています。

FP1級は専門性が高く敷居が高いものの、FP3級は現代社会のお金の入門試験となり、FP2級では社会生活を送る上でのお金の知識をほぼ網羅することが可能です。

FP2級を取得すれば、住宅ローンや保険、相続に関する知識を網羅的に学べるため、銀行や保険、証券会社でサービスを選ぶ際にも役に立つことは言うまでもありません。

また、FP資格取得を通して、お金に関する知識が身に付くことで、節約や資産運用に関する意識が芽生えることによって、日常生活の過ごし方が変わるという副産物的な効果がある声も聞かれます。

FPとしてより専門性を高めるためにAFP・CFPを取得する

FP資格は専門性が低いと言われますが、最高難易度のFP1級や、民間資格であるAFP、民間資格の最上位であるCFPを取得することによって、FPとしての専門性をより高めることも可能です。

ただ、FP1級やCFPは、お金に関する重箱の隅を突く問題や計算問題が多いため、日常生活で役立てる上ではオーバースキルになってしまいがちです。

FP1級やCFPは、金融機関に勤めているなど直接的にお金に関する業務に関わっている人にとっての専門資格であるため、それらの業務に関わっていない場合には、労力に対して取るメリットは小さいと言えるでしょう。

FP資格が役に立たない、意味がないかどうかはその人次第

この記事では、FP資格は役に立たない、意味がないと言われてしまう理由について取り上げた上で、FP資格を取得すると役に立つケースについても解説してきました。

FP資格を取っても役に立たない、意味がないと言われてしまう背景としては、FPの仕事は独占業務ではない、他の専門資格に比べると専門性が低い、FPは比較的取りやすい資格であることなどが挙げられます。

その一方で、FP資格を自らの専門分野に強みや信頼を持たせるために取得することによって、キャリアアップを果たしている人も少なくありません。

また、FP2級やFP3級の資格勉強をすることによって、お金のリテラシーを身に付けて、日常生活に役立てている人も増えています。

FP資格が役に立たない、意味がないかどうかは、その人次第であると言えるでしょう。

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