「ライフプラン」を個人で作成するときに失敗しやすいのは、ありきたりのプランになってしまい、自分ならではのプランにならないことです。
このような失敗が起こる原因は、理想の人生が明確化されていないためでしょう。
しかし実際のところ、10年や20年、さらにその先のことまでもを想像するというのは、かなり難しいことですよね。
そこで今回は具体的な想像を助けるべく、ライフプラン作成時に注意したいポイントを年代別にまとめました。
こちらを参考にライフプランを練れば、あなたやあなたの家庭にぴったりのプランが出来上がるでしょう。
【全年代】ライフプラン作成時の注意点
まずは、ライフプラン作成時の基礎ともいえる「全年代における注意点」をチェックしましょう。
作成時期はなるべく早めがおすすめ
ライフプランを作り始める時期は、なるべく早いに越したことはありません。できれば遅くても30代のうちには作り始めたいところです。
なぜなら一般的に30代以降は住宅購入や子育て資金などといったライフイベントによって、まとまったお金が必要になるためです。
資金準備のための計画は長期的であるほど難易度が下がるため、早めにライフプランを作成したほうが懐にも心にも余裕を持てるでしょう。
ライフイベントの想定は具体的に
記事の冒頭でも触れましたが、ライフプランの作成には理想の具体化が重要です。
キャリアアップや結婚など、ライフイベントを想定する際には、「こうなりたい」「こうしたい」をなるべく深掘りしましょう。
想定が具体的であればあるほど、自分や家族にとってベストな時期やベストな費用が明確になり、ライフプランの精度が増します。
たとえば仕事についてであれば、いつごろに昇進したいかだけでなくどんなふうに働きたいかまで。
結婚や子育てについてであれば、どのような家庭を築きたいか、どのような教育方針にするのかまで、具体的に考えてみてください。
無料テンプレートを賢く活用して
ライフプランを分かりやすく可視化するうえで、テンプレートの活用はとても便利です。日本FP協会では、無料でテンプレートを配布しているため、ぜひご活用ください。
なおテンプレートを埋めるうえで必要になるライフイベントごとにかかる費用(出産費用や進学費用など)については、Webを駆使すれば個人でも調べられます。ただし手間がかかるため、時間のない方や正確性を求める方は、専門家に依頼することもご検討ください。
【20代】結婚や出産費用について考え始めよう
20代は前半であれば、社会人として一人立ちする時期です。この時期はまず、以下のポイントに沿って、理想の生活を思い描くとよいでしょう。
- 実家暮らし?生活費はいくら家に入れる?
- 一人暮らし?引越し費用は?生活費の目安は?
- 自動車は購入する?購入費用や維持費用は?
特に一人暮らしを始める場合には、まとまったお金が必要になります。引越し前にかかる費用や生活費の目安を計算しておくことで、具体的な引越し時期をライフプランに組み込めるでしょう。
また自動車を購入する場合には、購入費用だけでなく維持費用まで含めた計算が必要です。買い替え時期や、その費用まで見越せるとなおよいでしょう。
20代も後半になり、新しい生活や仕事にも慣れてきたころには、そろそろ以下のポイントについても考え始めたいところです。
- 結婚はする?するならいつまでにしたい?式は挙げたい?
- 子どもはほしい?ほしいならいつまでに?
20代であれば、結婚や子どもについて考えるのは、まだ早いと感じる方もいるかもしれません。しかし子どもの教育資金は、「人生の三大資金」のひとつとされ、特にまとまったお金が必要になります。
それだけに教育資金は必要になってから貯め始めていては、かなり大変です。早め早めの見積もりをおすすめします。
【30代~40代】子どもの教育資金を重視して
30代以降の家庭の支出では、教育資金が多くを占めます。
- 幼稚園や保育所を利用する?何歳から?
- 学校は公立?私立?大学には進学させたい?
- 塾や習いごとはどうする?
幼稚園や学校にかかる費用はもちろんのこと、塾や習いごとなど教育全般にかかる費用を見積もるのがポイントです。
公立か私立かだけでもかかる費用には大きな差が出るため、教育方針はなるべく早めに固めていきたいところですが、難しいようであればパターン別にライフプランを練り、比較検討しましょう。
教育資金のほかでは、以下の点についても40代のうちには検討できるとよいでしょう。
- マイホームは購入する?購入は住宅ローンで?
- 保険は十分?過不足ない?
住宅ローンの利用を考えているのなら、遅くても40代のうちにマイホームを購入しましょう。50代以降はローンを組むことが原則難しくなります。
保険も歳を重ねるごとに加入が難しくなるため、このタイミングで一度見直しておきたいところです。
また、可能であれば30代から老後資金の準備を始められると、余裕を持ちやすくなるためおすすめです。
【50代】老後資金の貯蓄重視へ
50代になると、子どもたちがひとり立ちを始め、教育資金の負担が軽くなります。ここからは老後資金の貯蓄重視にシフトしていきましょう。
- 病気に備えた保険や貯金の準備は?
- 子どものひとり立ち費用や結婚、出産、住宅といったイベントへの資金援助はする?
子どもよりも自分の生活に重点が置かれはじめる50代ですが、ちょうど子どもにとって大きなイベントが連続してやってくるころでもあります。イベントに応じて資金援助を考えているのであれば、その費用も計算しておきましょう。
【60代~】理想の老後を送る計画を具体的に
いよいよ老後となる60代以降は、これまでに積み上げた資産や退職金を用いて生活することになります。特に考えなくてはいけないのは、以下のようなことでしょう。
- マイホームのリフォームは?
- 社宅住まいなら引越しはどうする?
- 突然の病気や怪我に対処できるだけの備えはある?
- 老後をどのように過ごす?趣味にかける費用は?
住居や健康など、生活のために必要な費用を考えることはもちろん、充実した老後を送るための計画も大切です。
これまで以上に時間の余裕が持ちやすくなるため、長期旅行に出掛けたり、趣味に打ち込んだりなど、理想の老後を想像してみましょう。
ライフプランは柔軟な調整が肝心、定期的に見直して
年代別の代表的なライフイベントを参考にすれば、まだ先の未来であっても具体的な理想像が描きやすくなるでしょう。
しかしその理想像は、今のあなたが思い描く理想像でしかありません。経験を重ねるにつれ、周りの環境が変わるにつれ、理想像もまた大きく変化していくでしょう。想定していなかったイベントが起こることも十分あり得ます。
そのようなときには、ライフプランの見直しが必要です。一度作成したライフプランに満足するのではなく、そのときどきで柔軟に調整し、自分の人生の舵を取っていきましょう。