ただ働き、貯蓄するだけでなく、積極的にお金を増やしていくことが大切だといわれるようになった昨今。「ライフプラン」という言葉をよく耳にするようになりました。
直訳すれば「人生の計画」ということで、「なんとなく意味は分かる」といった方も多いでしょう。しかし、そのようなばく然とした理解では、ライフプランを活かすことはできません。
人生をよりよくしたい気持ちがあるのであれば、ぜひこの機会に「ライフプランとは何か」はもちろん、ライフプランの具体的な作り方まで学びましょう。
ライフプランとは何か|メリットとともに解説
これから先、あなたはどのような人生を歩んでいきたいと考えていますか?子どもを持ちたいですか?たくさんの旅に出掛けたいですか?それとも……。
このように思い描く理想の生き方を「ライフデザイン」といいますが、ライフデザインを実現するための具体的な生活設計こそが、ライフプランです。
ライフプランを立てれば、お金に対するばく然とした不安が解消される
ライフプランを立てることは、ライフデザインを実現するのに役立つのはもちろんですが、老後資金をはじめとしたお金に対する不安の解消につながることが、大きなメリットです。
ライフデザインをより具体的に考えたとき、多くの人はお金の不安に行きつくでしょう。
「子どもがほしいけど、育てるために必要な金額を捻出できるのかな」「趣味にお金を使いたいけど、そんなことをしている余裕はあるのかな、老後のためにもっと貯金しておいたほうがいいんじゃないかな」などといった具合です。
そのような不安は、「いつまでに、いくらお金があれば安心なのかが分からない」といった不透明性から湧き起こりますが、ライフプランはこの不透明性を解消してくれます。
ライフプランを立てる際には、何歳のときにどのようなイベント(結婚や出産、資格取得、家や車の購入など)を迎えたいかを必要な経費とともに具体的に書き出すためです。
すると
- 「今の稼ぎだけじゃ足りないから投資にも回そう」
- 「今のお金の使い方じゃ足りなくなるから、もう少し節約しよう」
というように適切な対策が取れるようになります。
結果としてばく然とした不安が解消されやすく、将来はもちろん、現在においても生き生きとした日々を送れるようになるでしょう。
ライフプランの具体例と作り方
ライフプランの作り方を解説するにあたって、まずは上記ライフプラン表の具体例をご覧ください。
こちらはある一家の30年分のライフプランを分かりやすくまとめた表(一部省略)です。
ライフプラン表に定型はありませんが、より綿密に生活設計を練るのであれば、上表のように多くの情報がまとまったキャッシュフロー表として仕上げるのがおすすめです。表のテンプレートは、日本FP協会をはじめとしたホームページから無料でダウンロードできます。
以下で解説する作り方のコツを参考にするほか、収支を調べてひとつずつ欄を埋めていけば、ライフプラン表は個人でも作成可能です。しかし情報収集に時間がかかるため、手間に感じられるようであれば専門家への依頼をご検討ください。
作るコツ1|実現したいライフイベントはすべて書き出す
ライフプラン設計をするうえで初めに考える必要があるのは、実現したいライフイベントです。
以下を参考にして、自分ならではの人生設計をまずは箇条書きで書き出してみましょう。
- 住まいはどうしたい?家を購入する?賃貸?
- 子どもの教育はどうしたい?公立?私立?大学進学は?
- 老後はどのように暮らしたい?定年後も仕事?趣味に明け暮れる?
人生において特にお金のかかるイベントは、マイホーム購入、教育資金、老後資金だといわれています。少なくともこの3つに関しては、なるべく具体的に実現年数や費用を見積もっておくとよいでしょう。
ただし、無難にまとめる必要はありません。実現可能であるかどうかは表を作成し終えてから考え、少しずつ調整していけばよいので、まずは個人の価値観を重視して、夢や理想をそのまま書き出してみてください。
作るコツ2|変動率を踏まえて表を作成する
一般的に、収入や物価は年を追うごとに上昇すると考えられます。このような変動のある項目については、変動率を踏まえたうえで表を作成することで、より現実的なライフプランが見えてくるでしょう。
銀行の預金金利をはじめ変動率が明確なものはそのように、そうでない場合には、1.0~2.0%の範囲で暫定の変動率を定めるのがおすすめです。
作るコツ3|完成後は問題点がないかを洗い出して
ライフプラン表が完成したら、現在のままの生活で問題がないかを確認しましょう。主に確認するべきは、年間収支および貯蓄残高です。
たとえば大きなイベントがあった年に年間収支がマイナスになるのはよくあることであり、そこまで大きな問題ではありません。しかしマイナスが何年も連続するようであれば、いずれ計画が破綻する恐れがあります。
具体例として挙げた上表であれば、2046年以降に赤字がずっと続いているのは問題です。2049年には貯金までもがマイナスになってしまっていることから、現在のままの生活では、老後資金が十分に用意できないと分かります。
このように問題点が見つかった場合には、収入をより増やす方法はないか、なければ支出を減らせる部分はないかなど、検討を重ね、適切なライフプランに近付けていきましょう。
ライフプランニングの注意点
ライフプランはときに「ライフプランニング」とも呼ばれるように、ただ作成するだけではなく、日ごろから実行してこそ意味のあるものです。そのため、実現可能である地に足のついたライフプランを意識する必要はありますが、初めから完璧を目指す必要はありません。
個人の考え方はもちろん、取り巻く社会は日々変動しています。変動に伴い、思い描くライフデザインもまた刻一刻と変化していくでしょう。
だからこそ、一度決めたライフプランに縛られることは避けましょう。ライフプランと実際の生活にズレを感じ始めたら、それは改めてライフプランを練り直すタイミングです。状況に応じて、柔軟に調整および修正を都度行いましょう。
ライフプランは理想の人生を送るための計画図
ライフプランとは、いわば理想の人生を送るための計画図です。ライフプランを作成すれば、「いつまでにいくらのお金があればよいのか」「今いくら使ってよいのか」がはっきりします。
その結果として得られるのは、理想の将来だけではありません。不安が解消されて心の余裕が得られることで、今を全力で楽しめるようにもなるでしょう。
将来はもちろん、今も実り豊かなものにしたいのであれば、ライフプランの作成および実行をおすすめします。