FP以外の資格も持ったFPに相談すると相談内容はどうなる?

FPはお金に関する幅広い知識を持つことを証明する資格ですが、お金に関する業務についてはFPよりも専門的な資格があります。

税務に強い「税理士」、法律業務に強い「弁護士」、不動産業務に強い「宅建士」などの資格を持っているFPに相談すれば、より専門性の高い相談をすることができ、実際の業務を依頼することも可能です。

この記事では、FP以外の専門ジャンルの資格を持ったFPに相談するメリットや、税理士や弁護士、宅建士、社会保険労務士などを持つFPができることについて解説していきます。

目次

FP以外の専門資格を持ったFPに相談するメリット

FP以外の専門資格も持ったFPに相談するメリットについて見ていきましょう。

より専門性が高いお金の相談ができる

FPは、ライフプランニングや保険、金融資産運用、税制、不動産、相続・事業承継など、幅広い分野を広く浅く手掛けるお金の専門家です。

ただ、FPと一口に言っても、保険商品に強いFPもいれば、投資などの資産運用に強いFP、税制に強いFP、不動産や相続に強いFPなどさまざまです。

FPが手掛けるお金の領域については、税制では「税理士」、不動産では「宅建士」、相続では「弁護士」など、より専門的な資格があります。

FP資格に加えて、これらの資格も持っているFPに相談すれば、より専門性が高いお金の相談をすることが可能です。

FPのお仕事は、幅広いお金の知識をもとに、それぞれの家庭の経済状況に合った総合的なライフプランを提供することに価値があります。

人生100年時代でお金に関する相談需要が増えていることから、税理士や宅建士、弁護士がFP資格を取得するケースも少なくありません。

具体的な業務まで依頼することができる

FPは、お金に関する幅広い相談を引き受けることができますが、いくつかの業務はお引き受けすることができません。

法律業務は弁護士、税務に関する業務は税理士、賃貸の媒介などは宅建士の独占業務となっており、FPは一般的な相談はできても業務を行うことができないと法律で定められているためです。

FP資格に加えて、これらのお金に関する専門業務を行える資格を持っていれば、FPとして個人に合わせたライフプランニングを提供すると同時に、具体的な業務まで依頼することができます。

専門ジャンル資格を持ったFPの相談内容と強み

専門ジャンル資格を持ったFPの相談内容と強みについて押さえておきましょう。

税理士は確定申告書の作成など税務に関する業務も引き受けられる

税理士は、国が認めた税務の専門資格です。

税理士法では、税理士の独占業務として「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」を行うことができます。

FPは、所得税や住民税の計算、配偶者控除や社会保険料控除の計算、確定申告や青色申告、ふるさと納税などに関する一般的な相談や説明をすることができます。

ただ、税理士資格を持たないFPは、顧客の具体的な税額計算や、確定申告書の作成など、税務に関する個別相談や業務をすることはできません。

これは国の法律で決まっていることであり、無料であっても、税理士資格を持たない者が行うことは禁じられています。

税理士資格を持つFPは、税額計算や確定申告書の作成といった税務業務も引き受け、かつFPとしてのライフプランニングを提供することが可能です。

弁護士は相続や事業継承など法律業務も引き受けられる

弁護士は、依頼を受けて法律業務を処理することを国が認めた法律業務の専門家です。

弁護士は、法律相談業務を始めとする、法律に関する全ての業務を独占的に行えることが認められています。

FPは、遺産相続の各人の取り分などについて、一般的な説明や相談をすることができます。

ただ、弁護士資格を持たないFPは、遺産相続争いでの和解案の提示や相続人の利害調整といった、具体的な法律業務を行うことは、無償であってもできません。

弁護士資格を持つFPは、これらの法律業務を引き受けかつ、FPとしてのライフプランニングを付加価値として提供することも可能です。

宅建士は賃貸の媒介など不動産業務も引き受けられる

宅建士(宅地建物取引士)は、不動産会社が公正な不動産取引を行うために、宅地建物取引業法により定められた国家資格です。

宅建士は、不動産取引における重要事項の説明や、重要事項説明書や契約書への記名・押印を独占業務として行うことができます。

FPは、住宅ローンや住宅の相続、借地借家法など、不動産に関する一般的な説明や相談をすることができます。

特に、住宅ローンの相談については、FPが提供するライフプランニングの中核とも言えるお仕事です。

ただ、宅建士を持たないFPは、賃貸マンションの仲介において仲介手数料を受け取って貸借の媒介を行うといった不動産業務をすることはできません。

宅建士資格を持つFPは、賃貸マンションを所有する顧客からの入居者斡旋依頼を業務として引き受けて、仲介手数料を取ることも可能です。

社労士は公的年金に関する手続きも引き受けられる

社労士(社会保険労務士)は、社会保険や労働関連の法律の専門家として業務を行える国家資格です。

社労士は、企業における労働・社会保険に関する問題や公的年金の相談などを業務として行うことができます。

FPのお仕事として、公的年金に関する相談は、人生100年時代のライフプランニングにおいて重要性が増しています。

ただ、社労士資格を持たないFPは、年金請求書の作成など、顧客の公的年金に関する手続きを行うことは無償であってもできません。

なお、社労士資格がなくても、「繰り上げ受給すると、年金はいくら貰えるのか?」「厚生年金は将来、どの位貰えるのか?」など、将来の年金額の試算や一般的な制度説明をすることは可能です。

社労士資格を持つFPは、公的年金の年金請求手続きの代行業務などを引き受けた上で、FPとして老後のライフプランニングについても提示することができます。

金融商品取引業者や投資アナリストはより専門的な投資アドバイスができる

FPのお仕事として、iDeCoやNISA、つみたてNISAといった、資産運用に関する相談を受けることは非常に多くなっています。

ただ、FPができるのは、iDeCoやNISAの制度に関する一般的な説明までです。

「どの株や投資信託に投資すればいいのか?」といった、投資助言業や投資代理業務をすることはできません。

投資助言業を行うには、金融商品取引業のライセンス登録を受けている必要があります。

また、資産運用や投資に関する資格としては、「投資アナリスト」という上位資格がありますが、独占業務ではありません。

保険募集人は保険の募集行為を行うことができる

保険募集人は、生命保険や損害保険の販売が許可された資格です。

保険募集人として活動するには、生命保険の場合は「一般課程試験」、損害保険では「損害保険募集人一般試験」の基礎単位に合格してかつ、内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。

FPは、生命保険や損害保険、自動車保険など保険の相談を受けて、保険商品の説明をすることや、保険の必要保証額について一般的な説明や試算をすることができます。

ただ、保険募集人として許可を得ていないFPは、生命保険・損害保険の販売行為をすることはできません。

保険募集人として許可されているFPは、FPとしてライフプランに応じた生命保険の活用方法を説明した上で、募集行為を行うこともできます。

FPに相談するときは相談内容に合わせて専門ジャンルに強いFPに相談しよう

この記事では、FP以外の専門ジャンルの資格を持ったFPに相談するメリットや、税理士や弁護士、宅建士、社会保険労務士などを持つFPができることについて解説してきました。

専門資格を持ったFPに相談するメリットとしては、より深いお金の相談ができるようになり、FP資格だけではできない専門業務まで依頼できることが挙げられます。

税理士は確定申告書の作成などの税務業務、弁護士は相続などの法律業務、宅建士は賃貸の媒介などの不動産業務、社労士は公的年金に関する手続きなどができます。

近年は、人生100年時代における、お金の相談需要が大きくなっていることから、これらの専門資格を持つ人が付加価値を付けるためにFP資格を取得するケースも増えています。

FPに相談するときは、自分自身の相談内容や特化したいライフプランニングに合わせて専門ジャンルに強いFPに相談するようにしてみましょう。

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