FPには、税金対策についても相談することができます。
ただ、税理士資格を持たないFPの税金対策相談でできることは限られており、所得税や相続税の計算や控除、確定申告、ふるさと納税など、税制度に関する一般的な相談に限定されています。
FPに税金対策で相談しても、具体的な税額計算や、確定申告書の作成といった、税務に関する個別相談や業務をすることはできない点には注意しておきましょう。
この記事では、FPへの税金対策で多い悩み/相談、FPに税金対策で相談する前に必要な準備や注意点について解説した上で、FPとの税金対策相談の具体的な相談事例についても紹介しています。
FPの税金対策で多い悩み/相談とは
FPの税金対策で多い悩み/相談としては、
- 「医療費控除や住宅ローン控除で、所得税はどのように還付されるのか知りたい」
- 「ふるさと納税について知りたい」
など、所得税・住民税の還付に関する質問が多い傾向があります。
さらに、高齢化社会を背景に、相続税の制度に関する相談も増加傾向にあります。
相続業務は弁護士の独占業務で、税に関する業務全般は税理士の独占業務ですが、相続とお金についてトータルで相談できるとなるとFPしかいないということも、相続税の相談が増えている背景にあるのでしょう。
また、日本政府が副業を推進していることで、ネットビジネスなどを始める人が多くなっていることから、「青色申告や青色申告特別控除について知りたい」という相談も増加傾向にあります。
ただ、FPへの税金対策相談が増えると同時に、「所得税や社会保障費を計算して欲しい」「確定申告書を作成して欲しい」といった相談も増えていますが、これらの業務は税理士の独占業務となっているため、お引き受けできないケースも少なくありません。
FPに税金対策で相談する前にどのような準備が必要?
FPに税金対策で相談する前に、どのような準備をしておく必要があるのかを押さえておきましょう。
自分自身が税金対策のどのような制度を知りたいのかを押さえておく
FPは、所得税や相続税の計算、配偶者控除や社会保険料控除の計算、確定申告や青色申告、ふるさと納税といった税制度に関する一般的な相談や説明をすることができます。
ただ、FPは、税理士の独占業務となっている具体的な税額計算や確定申告書の作成はできないため、これらの業務は自分の手で行っていただくか、税理士に依頼するかとなります。
FPに税金対策で相談する上では、税制度に関する一般的な説明までしかできないため、事前準備としては「税金対策について、どの制度について知りたいのか?」を押さえておくことが重要です。
具体的には、「所得税の計算方法について分からないことがある」「所得税の還付を受けるために、医療費控除や配偶者控除について知りたい」「ネット副業をする上で、青色申告特別控除という制度について知りたい」などです。
所得税の計算方法一つ取ってみても、「不動産所得」「退職所得」「事業所得」といった所得の種類から、「配偶者控除」「医療費控除」「ふるさと納税控除(寄付金控除)」といった控除など、税金の仕組みは複雑となっています。
FPは、個々の税額計算や確定申告書の作成はできませんが、基本的な税制度についての知識は網羅しているため、税金対策の補助という形でお手伝いすることが可能です。
FPに税金対策で相談するときの注意点
FPに税金対策で相談するときの注意点について押さえておきましょう。
税金対策の業務も依頼したいなら、税理士資格を持つFPに相談する
税理士資格を持たないFPは、具体的な税額計算や確定申告書の作成など、税務に関する個別相談や業務をすることはできない点に注意が必要です。
国の法律では、「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」については税理士の独占業務となっているため、たとえ無料であっても、税理士資格を持たないFPが行うことは禁じられています。
FPに税金対策の相談をしてかつ、具体的な税額計算や確定申告書の作成など、税金対策の業務まで依頼したい場合には、税理士資格を持つFPに相談するようにしましょう。
相続業務を依頼したいなら、弁護士資格を持つFPに相談する
近年、相続や相続税に関する相談は増加傾向にあります。
ただ、FPは贈与税や相続税の計算や、遺産相続における各人の取り分など、相続に関する一般的な説明をすることは可能ですが、相続業務については弁護士の独占業務となっています。
弁護士資格を持たないFPは、遺産相続争いでの和解案の提示や相続人の利害調整といった、具体的な法律業務を行うことは、無償であってもできません。
また、個別の相続税の計算についても、税理士の独占業務となっているためできません。
FPに、相続の税金対策の相談をしてかつ、具体的な相続業務を依頼したい場合には、弁護士資格を持つFPに相談するようにしましょう。
FPとの税金対策相談の相談事例
FPに税金対策で相談した場合の相談事例について見ていきましょう。
相談事例1:「所得税の還付を受けるために、医療費控除の仕組みについて知りたい」
相談:
「2022年には、医療費への支出が多くなってしまったのですが、医療費控除として確定申告すれば、所得税が還付されると聞きました。医療費控除の仕組みについてご教授いただけないでしょうか?また、メガネやコンタクトの購入や、健康促進のための健康食品も医療費控除に含まれるのでしょうか?」
FPの回答:
「医療費控除は、その年に支払った自己負担分の医療費から、保険金などで補填された金額を差し引き、10万円(※総所得金額が200万円未満なら総所得金額の5%)を差し引いて求めることができます。つまり、所得が200万円以上で、年間10万円以上の医療費を支出していたら、医療費控除として確定申告することで所得税の還付を受けることができます。ただ、医療費控除は、治療もしくは療養を目的としたものが対象となり、美容・健康促進は対象外となります。メガネやコンタクトは治療の対価ではなく、健康食品も健康促進のため、医療費控除の対象にはなりません」
相談事例2:「ふるさと納税制度について知りたい」
相談:
「ふるさと納税制度に興味があるのですが、税制度について詳しく教えていただけないでしょうか?」
FPの回答:
「ふるさと納税で寄付した金額は、寄付金控除として所得金額から控除できます。寄付金控除の控除額は、(1)支出した特定寄付金の合計額、(2)総所得金額等の40%相当額の、いずれか低い方の金額から2,000円を控除した金額となります。簡単に言うと、ふるさと納税をすることによって、実質2,000円の負担でふるさと納税の返礼品を貰えるということになりますね。なお、ふるさと納税の適用を受けるには、確定申告をする必要があります」
税金対策の制度で分からないことがあったらFPに相談してみよう
この記事では、FPへの税金対策で多い悩み/相談、FPに税金対策で相談する前に必要な準備や注意点について解説した上で、FPとの税金対策相談の具体的な相談事例についても紹介してきました。
FPは、税金対策の相談を引き受けることができますが、所得税の計算や控除、確定申告、ふるさと納税など税制度に関する一般的な相談に限定されていることには注意が必要です。
具体的な税額計算や確定申告書の作成といった、税務に関する個別相談や業務は税理士の独占業務となっています。
税金や相続に関する業務について、お金という観点からトータルでアドバイスできることは、FPというお仕事の価値となっているため、近年はFP資格を取得する税理士や弁護士も増えています。
税金対策の制度で分からないことがあったら、気軽にFPに相談してみるようにしましょう。