現代の60代はとてもフレッシュ。特に女性は趣味に交友にと生き生きしている方が多く、「60代は人生の再スタートを切る時期だ」と考えている方も少なくありません。
しかし、満喫するためには少なからずお金がかかるものであり、お金の使い方や貯め方について悩む方も多いでしょう。
そこで今回は、60代女性ならではのお金の悩みをピックアップ。世間のみんながどんなことで悩みを抱えているのかをまとめました。
これからのお金のことについて、悩みや気になることがある方は、ぜひチェックしてみてください。
令和時代の60代女性は「今」をどう過ごしている?
60代といえば、お子さんも十分に成長し、ホッと一息を付くところという女性も多いでしょう。
ひと昔前までであれば、定年退職した夫を支えるために孤軍奮闘していた女性も多い傾向にありましたが、現代ではそんな傾向も様変わり。
「自分の時間を大切にしたい」「生きがいを持ちたい」と考え、行動している女性が増えてきているようです。
そのための手段として、働くことを選ぶケースも増加。厚生労働省の調べによると60~64歳の女性のうち、働いている女性の比率は2018年で58.6%。1989年のころと比較すると、約20%も上昇しています。
参照:厚生労働省 女性の年齢階級別就業率の変化(Excelデータより)
現代の60代女性が抱えやすい悩み
現代は、60代であっても世帯ごとの貯蓄格差が大きいといいます。
そのうえ平均寿命が昔に比べて大きく延び、長生きリスクという言葉もささやかれている時代です。
「今の貯蓄でいくつまで持つのだろうか」といったお金の悩みを持つ女性は、数多くいます。
この先70代、80代……と、年齢を重ねていくことを考えれば、病気や介護、またそれに伴う費用も心配になります。こればかりは具体的な想定がしづらいのも、厄介なところです。
さらに近年は、増税や物価上昇など、日本の未来が不安になるニュースも少なくありません。
「いくらお金があっても足りない気がする」といった不安は、どなたであっても抱いて当然でしょう。
また、全体の離婚件数が増えるとともに、熟年離婚の件数も年々増加。同居期間が35年以上の夫婦に絞っても、1985年は1,108組だったのが、2021年には6,311組にも上っています。
熟年離婚を検討している方はそれ以上に増えていると推察されることから、「離婚を前提としたときの老後資金の心もとなさ」を悩む女性も多いと考えられるでしょう。
参照:金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査(2022年)
参照:厚生労働省 令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況
具体的な相談事例(66歳・女性・独身・貯金950万円)
ここでは、弊社に寄せられた相談事例を基に、相談者のモデルケースをご用意しました。考えられる対策例や相談先についてもご紹介します。
相談者プロフィールおよび相談内容
- 名前:高橋 正子
- 年齢:66歳
- 性別:女性
- 貯蓄:950万円(普通預金)
- 収入:月9.5万円(手取り)
- 支出:月平均14万円
- 年金月額:約10万(受給中)
- パートタイム、一人暮らし(離婚済み、子ども2人は独立済み)、持ち家
高橋さんは、26歳のときに元旦那さまとお見合い結婚をし、2人の子どもにも恵まれました。
しかし、元旦那さまとはどうしても折り合いが悪く、高橋さんはかなり早い段階から、「子どもたちが独立したら離婚したい」と考えていたといいます。
実際のところは、子どもたちが2人とも独立したときには、高橋さんも50代の半ばを過ぎ、昔に比べると離婚に対する熱も落ち着いていたため、一度は「このままでもいいか」と考えたとのことです。
ですが、元旦那さまが定年退職を迎えたことを機に、家にいることが増え、当時の気持ちが再燃。
少し前からパートタイムで働きに出ていたこともあり、「なんとかなるだろう」と62歳にして離婚を成立させました。
結果、自分の時間を満喫できるようになり、「離婚したこと自体は後悔していない」と高橋さんは言いますが、お金のことだけは先行きが不安とのことです。
ニュースで老後2,000万円問題が取り沙汰されたこともあり、自分の現在の貯蓄額と比較して、「なんとかなると思っていたが、甘かったかもしれない」と思い悩んでいました。
「仕事にしても趣味にしても楽しんではいるものの、ふとした瞬間に考え込んで落ち込んでしまう」「なるべく子どもには頼りたくないんだけど……」と、高橋さんはいいます。
悩みをそのままにした場合に起こり得るリスク
- 生涯を全うする前に、貯蓄が尽きてしまう
- 無理に働き、健康寿命を短くしてしまう
- お子さまに後悔をさせてしまう
相談内容に応じた対策例および相談先
「お金の不安」は「生活をおびやかされる不安」に直結するため、とても心身をむしばみやすいものです。
お金を簡単に増やすことは難しく、不安の根本原因を取り除くことはなかなかできませんが、緩和することはできます。
「老後のライフプラン設計をする」ことと、「人に相談する」ことは、なるべく早くかつ積極的に行いましょう。
老後のライフプランを設計しよう
高橋さんの例に限らず、お金の不安を抱えたとき、多くの人はなんとなく悩んでいます。
「もしかしたら足りないかも」という、そのあいまいさこそが不安の大きな原因です。
そこで一度、「今の生活を続けていたら、〇歳まで生きるのにいくらかかるのか」を紙に書き出してみるとよいでしょう。
初めは理想の生活を基にしたもので構いません。「〇歳には仕事を辞めたいから、この年からは年金収入だけ」「〇歳には海外旅行に行ってみたいな」など、理想を詰め込んだライフプランを作りましょう。
そのうえで毎年いくらの収支になるかをメモしていけば、生涯を全うするために必要なおおよその金額が分かります。
すると、「今の生活でも大丈夫」や「危ないかもしれない」などの気付きが得られるでしょう。
「もっと節約しなきゃ」「今の貯蓄から増やせる方法はないだろうか」など、具体的な対策も考えられるようになることから、不安の緩和に大きく役立ちます。
人に相談しよう
お金の悩みは人に言いづらく、高橋さんのように「むしろ身内だからこそ遠慮してしまう」といった方も多いでしょう。
ですが、大切に育てられたお子さまであったり、仲の良いパートナーや身内、友人であったりするからこそ、頼ってもらえないまま万が一のことがあれば、彼らは自分を責めます。
自分だけでどうしようもできないことは、なるべく人に頼りましょう。
しかし、お金の問題はトラブルにも発展しやすいのも事実です。周りに相談できる人がいないようであれば、公的機関やサービスを頼りましょう。
対策を具体的に思いついているのであればその道の専門家に、どうすればよいのか迷っているという状況であれば、人生設計におけるお金のプロであるFPに相談するのがおすすめです。
リスクは早期発見が重要!頼れるものはすべて頼って
ライフスタイルが大きく変容した時代を生きてきた60代女性だからこそ、先々を考え、お金の悩みに押しつぶされてしまいそうになる日もあるでしょう。
そんなときは、不安にただ耐えることは避け、なるべく早くに行動することが大切です。
お金はすぐに増やせません。だからこそ行動が遅くなればなるほど、お金と生活にまつわるリスクは対策が難しくなります。
少しでも老後に不安があるのなら、周りの身近な人も含め、頼れるものは頼りましょう。
FPは、将来に対するお金の悩みを解決するためのパートナーです。どうしても一人で抱え込んでしまう方は、ぜひFPもご活用ください。